- 簿記3級と簿記2級ってどんな試験?
- 具体的にはどこが違うの?
簿記試験といっても様々な級があり、各級において何が具体的に違うのかわからない人も多いと思います。
中でも簿記3級と簿記2級の見分けは難しく、その細かな違いを知らないまま試験に挑み、失敗する人も大勢です。
そこで本記事は、わかりにくい簿記3級と簿記2級の違いを9つの項目で比較、キャリアの違いについても紹介しています。
これを知りたい人に書いてます
- 簿記2級と簿記3級の違い
- 自分が受けるべき級を知りたい
- キャリアビジョンを確認したい
- 受けるべきか決心がつかない
記事を読めば、2つの級の具体的な違いが分かるだけでなく、自分のキャリアビジョンについても考えることができます。
簿記3級・簿記2級試験について
簿記の試験は商工会議所が実施している「お金や物の出入りを記録」する能力があるかを判断する試験になります。
経理関係の仕事にしか使えないような気がしますが、営業や一般事務の仕事でも使えるため、どんな人が取得しても腐らない資格です。
難しいと言われることもありますが、社会人であればほとんどの人が取得している王道の資格になります。
簿記3級とは
簿記3級とは、主に会社を運営していくうえで必要になる日々の取引を仕訳できるかを測る試験です。
また、経理関連の書類などを作成する能力があるか見られます。合格することができれば、会計の基本知識と経理事務の知識、企業の経理状況の読み取る能力があると認められます。
範囲は商業簿記に限定されます。
簿記2級とは
簿記2級では、3級の範囲に加えて工業簿記の範囲がプラスされます。
具体的に言うと、経営管理に必要な知識が求められ、資源の投入を記録し計算する技能の有無が問われることになります。
企業内部の部門別、製品別で各種要素から計算して経理を判断。簿記2級を取得することで、製造業における経理業務も可能になります。
【比較】簿記3級と簿記2級の違いを9項目で紹介
簿記3級と簿記2級では、様々なところに違いがあります。
違いを知らずに同じものだと思い込んでいると、受かるものも受からなくなるものです。
簿記試験で絶対に必要な情報である9項目について、簿記2級と簿記3級の違い&筆記試験とネット試験の違いも合わせて紹介していきます。
- 試験形式
- 試験範囲
- 日程
- 申し込み
- 試験時間
- 受験料
- 持ち物
- 合格率
- 勉強時間
試験形式
試験形式については、簿記3級と簿記2級での違いはありません。どちらも2パターンで受けることができ、「筆記試験」と「ネット試験」の方式があります。
筆記試験
- 指定の会場でペンやマークシートを使う試験
ネット試験
- PCで問題を見て解答する試験
筆記試験は、皆さんが想像している紙を使用した従来の試験であり、ネット試験は、令和3年から開始した指定のパソコンを使って解答を行う試験です。
受検タイプによって、得意不得意があるので、受験前にどちらが自分に合っているか確認して挑戦してください。
試験範囲
試験範囲は、簿記3級と簿記2級で大きく違います。
簿記3級
第問 | 項目 | 配点 |
第1問 |
| 45点 |
第2問 |
| 20点 |
第3問 |
| 35点 |
簿記2級
第問 | 項目 | 配点 |
第1問 |
| 20点 |
第2問 |
| 20点 |
第3問 |
| 20点
|
第4問 |
| 28点 |
第5問 |
| 12点 |
簿記2級の方が上位の資格であるため、3級の知識に+αされている範囲になります。
項目で言うと簿記3級は商業簿記のみ出題。簿記2級は商業簿記+工業簿記が出題される範囲になります。
なお、どちらも簡単な試験ではありません。
中でも特に難しいとされる範囲が簿記3級では第2問。簿記2級では第4問と第5問の工業簿記が難しく、多くの受験生が躓きます。
この設問項目については、特に力を入れておきましょう。
日程
日程は簿記3級と簿記2級で変わることはなく、同日に開催されます。ただ、筆記試験とネット試験では試験日程が大きく変化します。
筆記試験
年度1回目 | 年度2回目 | 年度3回目 | |
試験日 | 6月中旬 | 11月下旬 | 翌年2月下旬 |
ネット試験
- 全国各地で毎日開催
- 申込後に希望に日時を指定
このような違いがあります。
筆記試験であれば、受験後受かっても受からなくても次の挑戦には3ヶ月必要です。
一方、ネット試験は好きな時に受けられるため、1度目の受検後、空きがあればすぐに試験を受けられます。
簿記3級を取得して、連続して簿記2級を取得することも可能です。
申し込み
申し込み方法も、簿記3級と、簿記2級で変わることはありません。同じ方法で申し込みできます。
簡単にまとめると、以下のとおりです。
郵送
- 申し込み登録
- 申込書への記入
- 受験料・事務手数料の支払い
- 受験票の到着
ネット
- 受験者登録
- 受験予約
- 領収書の発行
後は受験票を忘れずに持って、試験会場に向かうだけです。
特に難しいことはありませんが、間違えると受験票が届かなかったり、試験が受けられないこともあります。記入の際は、慌てずに記入・入力して、証拠書類も保存してください。
なお、より詳しい手順は以下の記事にまとめてあるので、参考にしてください。
試験時間
試験時間は簿記3級と簿記2級で変わっているので、ここも確認しておきましょう。
簿記3級
- 1時間(60分)
簿記2級
- 1時間30分(90分)
となっています。
簿記2級では、簿記3級の商業簿記にプラスして工業簿記が入っている分、多くの時間を要するため、この時間になっています。
ネット試験も同じ時間なの?
ネット試験も同じ時間になります。筆記試験であっても、ネット試験であっても、問題の内容・出題範囲共に違いはないため、同じ時間に設定されています。
簿記試験では時間が足りなくなることが多いので、演習を積んで時間把握能力を身につけてください。
受験料
受験料は簿記3級と簿記2級で変わります。
簿記3級
- 2,850円
簿記2級
- 4,720円
どちらの試験もこれにプラスして、事務手数料550円が別途出かかります。
なお、筆記試験とネット試験での試験料に差はありません。
持ち物
持ち物は3級、2級で特に変化はありません。
代わりに筆記試験とネット試験で持ち物が変わります。中には忘れてしまうと致命的な持ち物もあり、最悪試験を受けることができないので忘れ物はなしにしましょう。
筆記試験とネット試験で必要なものは、以下のものになります。
筆記試験
- 受験票
- 筆記用具
- 身分証明書
- 電卓
ネット試験
- 受験票
- 身分証明書
- 電卓
電卓や筆記用具はなくても、貸出してくれる場合もあるので、問題ありません。しかし、身分証明と受験票は、忘れてしまうと、受験できない可能性があります。
お金だけ払って、試験を受けずに不合格にならないように注意してください。
合格率
簿記3級と簿記2級の合格率は大きく違ってきます。それも比べ物にならないほど、難易度が大きく変化しています。
簿記3級合格率
実施回数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
163回 | 37,493人 | 11,516人 | 36.4% |
162回 | 39,055人 | 9,786人 | 30.1% |
161回 | 43,723人 | 16,770人 | 45.8% |
160回 | 52,649人 | 22,512人 | 50.9% |
159回 | 58,025人 | 13,296人 | 27.1% |
平均合格率 | 38.1% |
簿記2級合格率
実施回数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
163回 | 15,130人 | 2,983人 | 24.8% |
162回 | 19,141人 | 3,257人 | 20.9% |
161回 | 16,856人 | 3,524人 | 26.9% |
160回 | 21,974人 | 3,057人 | 17.5% |
159回 | 27,854人 | 5,440人 | 30.6% |
平均合格率 | 24.1% |
簿記2級の合格率は簿記3級の約60%程度しかありません。この合格率でを見るだけでも、難しさ的に「簿記2級>簿記3級」ということがわかります。
特に簿記2級では、2018年の試験範囲大改定時に元簿記1級の範囲である連結会計等が追加。そのことも、簿記2級の難易度をアップさせている要因になります。
勉強時間
勉強時間は簿記2級と簿記3級でまったく違ってきます。一般的な目安は以下のとおりです。
簿記3級
- 100時間~200時間
簿記2級
- 200時間~350時間
この辺りが平均的な受かるまでの学習時間です。
これは長すぎる…。
と思う人もいるかもしれませんが、これは初学者が学習する場合になります。
すでにある程度の簿記の基礎知識を持っている人であれば、より短い時間で試験に受かることも可能です。
ただ、簡単とよく言われている簿記試験ですが、一応、国家試験であり、実際はかなり難しい難関試験です。1発で受かりたい人であれば、上記の時間にプラスして勉強することをオススメします。
9項目のまとめ表
上で説明したものをわかりやすくまとめてみました。
さらっと全体の要点を見たい人は、ココを参考にしてください。
簿記3級 | 簿記2級 | |
試験形式 |
|
|
出題範囲 |
|
|
試験日 |
| |
申し込み |
| |
試験時間 |
|
|
受験料 |
|
|
持ち物 |
| |
平均合格率 |
|
|
勉強時間 |
|
|
比較した要点は以上になります。必要な情報を確認しながら、その都度見てみてください。
簿記2級と簿記3級のキャリアの可能性
簿記は、ビジネスの基本であり、多くのビジネスシーンにおいて求められるスキルです。
簿記の知識を持つことは、会計や財務に関連する職務をこなす上で非常に有益なので、簿記の資格を取得することは、キャリアの幅が広げることにつながります。
キャリアの幅は広がりますが、その広がり方は取得している級によって変わりますので、自分が目指しているものに合わせて、資格を取りましょう。
簿記3級のキャリアビジョン
簿記3級は、会計の基本的な知識と技能を証明する資格です。
基本的な簿記のスキルを持つことが証明されるため、中小企業や小規模な組織での事務職に適しています。
3級自体を用いて、仕事を積極的にこなすこともできますが、どちらかといえば次の段階へのステップアップに必要な資格です。
企業での活躍
簿記3級を企業で使いたい場合は、中小企業や、スタートアップ企業において経理スタッフとして活躍することが主です。
例えば、会計帳簿の作成や請求書の管理など、基本的な経理業務を担当します。
ただ、大企業で働きたいという場合には、簿記3級では厳しい傾向になります。そのため、キャリアパスとしては、一定の経験を積んだ後、他の資格を取得して転職していく場合が多いです。
進学・資格向上
簿記3級を持っている人は、さらなるキャリアアップを目指すために、簿記2級や他の会計関連の資格を取得することを検討することがよくあります。
3級を活かし、職場で実務経験を積むことで、実務に必要なスキルを磨くことができます。これにより、将来的には管理職や専門職への昇進も視野に入れることができるようになります。
簿記2級のキャリアビジョン
簿記2級は、簿記3級よりも高度な会計知識と技能を持つことを証明する資格です。
この資格を持つことで、会計士や税理士のアシスタントとして働くだけでなく、企業の経理部門でのポジションにも就くことができます。
また、大企業や多様な業界での会計関連の職務に従事することが可能。それだけでなく、簿記2級以上の高位の資格を取得するための足掛かりとなる資格でもあります。
企業での活躍
財務分析、予算管理、経費精算など、企業内の高度な経理業務を行うことができ、経理のプロフェッショナルとして従事することができます。これらの役割は、企業の業績分析や戦略的な意思決定に直結。
自身のキャリアアップのチャンスに加えて、企業を動かせる一つの要因となります。
独立・フリーランス
簿記2級を持っていれば、その特性を活かすことで、独立して経理・会計のコンサルタント。フリーランスのブックキーパーとして働く道もあります。
また、自分の会社を企業して、専門知識を活用して、クライアントにサービスを提供し、ビジネスを拡大することができます。
一通りのビジネスシーンで活躍できるものが、簿記2級です。
キャリアアップのためステップ
簿記2級と簿記3級の保有者が進むべきキャリアパスは、その人の興味、目標、そして野心によって異なります。
簿記3級は初歩的な知識を証明し、簿記2級はさらなる専門性を証明する資格です。
そして、簿記2級を持っている人は、より高度な業務や専門職を目指すことができ、簿記3級を持っている人よりも、高度な職に就ける可能性が高いです。
ただ、簿記3級だけの保有者でも、更なる学習や経験を積むことで、幅広いキャリアを築くことができます。
その他に簿記2級と簿記3級は、会計と経理の分野でキャリアを築く上で非常に有益な資格になります。自身の目標や関心に応じて、これらの資格を基盤にして多様なキャリアパスに選び取ることが可能。
積極的に資格を取得することで、あなたのキャリアを最大限に活用できます。
簿記3級と簿記2級の違いと比較まとめ
- 3級は商業簿記、2級は商業簿記+工業簿記
- 試験範囲や学習時間など大きく違う
- それぞれのキャリアビジョン
簿記3級と2級は同じような試験ですが、実際はかなり違います。
違いを分からずに資格試験に挑戦しても良い結果になることは難しく、仮に取れたとしても自身のキャリアに生かせないこともあります。
どちらの試験を受けるにしても、比較しながらじっくりと準備を進めましょう。
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