今回の話題は少し小難しいです(汗)
でも、特別支援教育に水際で携わっている者として、その実践のベースに必ず置いておかないといけない内容であるとも思っています。
着座姿勢を整えるシリーズもまだまとめ切れていませんが、ご容赦ください。
さて、
ある研究会においてリポートを発表する必要が生じました。
私が現在携わっているLD通級指導教室についてその実践をまとめていくにあたり、教室開設時から拠り所としてきた
「サラマンカ宣言・声明」を読み返し、教室運営との整合性をみつめてみました。
構成としては
@LD通級指導教室設置の背景
A本教室の歩み
B本教室の教育課程
C運用上の危惧
DLD通級教室は必要か
Eまとめにかえて
としています。
今回はAまでの中で、必要な部分を抜粋して紹介させていただきます。
なお、書き上がったばかりのため、文章がねじれていたり読みにくかったりする点についてはご容赦ください。
ここから本文です。
表題は
「LD通級指導教室はどこへいく〜サラマンカ宣言・声明との整合性をもとに実践を振り返る」としています。
1.LD通級指導教室設置の背景
1994年6月にスペインにて行われた「特別ニーズ教育世界会議」において、92の政府と25の政府間組織が批准したサラマンカ宣言はその第2項において以下のように宣言している。
・(前略)幅の広い性格やニーズを考慮して、教育システムが作られ、教育プログラムが実施されるべきである。
・特別な教育ニーズを有する人々は、そのニーズに見合った教育を行えるような子ども中心の普通学校にアクセスしなければならない。(後略)
このような世界的なインクルーシヴの流れを受け、我が国においても「特殊教育から特別支援教育」への転換を合言葉に様々な変化が見られるようになった。
その変化の一つが、「特別支援教室構想」である。
「特別支援教室」という名称は、「今後の特別支援教育の在り方(文科省調査研究協力者会議2003)」の中ではじめて使われ、特別支援学級の担任や関わる教師、通常教室で学ぶ発達障害のある児童生徒への個別支援など「弾力的な運用」という手法によって展開されるようになった。
その後、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)(中教審 2005)」を受け、2006年度には、LDやAD/HDの児童に対応するために全国で282人の加配がなされ、発達障害に特化した通級指導教室が全国的に開設されるようになった。
加えて、2006年「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立(改正法は2007年4月より施行)。この改正により特別支援教育が新たな段階に入ったことから、2007年度は教育関係者の間で「特別支援教育元年」などとも呼ばれている。
これらの変化を概観すると、サラマンカ宣言の謳う「ニーズに応じた教育システムやプログラムの実施による、すべての子どもの普通学校への就学」の理念に合致しているが、実際の現場ではどのように運用され、どのような成果が見られ、また課題が明らかになってきているのであろうか。
2.本教室の歩み
本校においては、筆者が赴任する2年前より特別支援学級担任をはじめとした、関係職員の「弾力的運用」により、支援を必要とする児童に対しての個別指導や入り込み指導が行われていた。
その実績を元に加配申請をし、本通級指導教室が開設されたと聞いている。
赴任当時、すでに通級指導教室入級予定者リストが作成されており、9名の子どもの名前が挙がっていた。前年度から「弾力的運用」による取り出し指導を受けていた者を中心に、隣接校からも3名の児童が含まれていた。
指導を開始するにあたり、各児童の観察、保護者及び担任との面談を行い、ニーズの吸い上げを行うことがはじめの仕事であった。「教室が開設されたら入級するか」といった漠然とした説明がなされていたため、多くの保護者に対して、教室の求める方向について再確認することが必要であった。
同じように、学校職員にとってもLD通級指導教室は未知の存在であり、その存在の意義や目的について、担当者が構想を立て周知していく必要があった。
開設者である県教委は4月中旬に担当者を集め、教育センターにおいて研修会を行ったが、学校教育法改正に伴い、通級指導の対象者がLDやADHD児童にまで広がることと、週あたりの指導時間数が柔軟になることなどの説明に終始し、教室が目指す理念や具体的な姿についてまで踏み込んだ話はなく、担当者の創意工夫に期待するという、いわば担当者丸投げの状態でのスタートとなった。その後も県主催の研修会などは企画されず、いまだに各地域で独自の取り組みがなされている。
では、本教室がめざすべき姿とはどのようなものであろうか。この点を煮詰めていく必要性があった。
サラマンカ声明はその前書きにおいて、「万人のための学校」について以下のように述べている。
「万人のための学校」−すべての人を含み、個人主義を尊重し、学習を支援し、個別のニーズに対応する施設に向けた活動の必要性の認識をもつこと
この立場に立ち、LD通級指導教室の存在意義を考えると、学校は「個別のニーズ」に応じながら「学習を支援」し、「すべての人を含む」場となるべきであり、それを具現化するための専門的なリソースとして教室が位置するべきであると思われた。
つまり、学び方が違う子どもたちそれぞれに応じた支援の在り方を、構築、実践、提案することにより、すべての子どもがともに過ごすことができるように整えることこそが役割であると考えている。
そこで、本教室の校内における位置づけとして以下の2点にまとめ、全職員及び保護者への周知徹底を行っている。
@当該学年の学習やその支援については学級担任が行う。
A通級指導教室では、そのお子さんのもつ認知スタイルや得意な学習様式を、アセスメントや個別指導を通して明らかにしていき、教室での支援のためのフィードバックを行う。
当然のことであるが、1週間に30時間近く過ごす在籍教室における支援が進み、個のニーズに応じることができなければ、その児童にとり適切な教育がなされたとは言えない、そしてその支援を行うのはあくまで学級担任である。
LD通級指導教室は、個別や少人数で学ぶことにより、学びの特徴をとらえ、学級担任にフィードバックすることを通して、在籍教室におけるより良い支援がなされるようにしたいと考えている。
つまり、学校におけるLD通級指導教室は、第一にアセスメントの役割を担う場所であり、子どもたちを支える具体的な支援はあくまで学級担任によりなされるべきである。
この立場に立ち本教室は、在籍教室における学習が何らかの原因により難しいお子さんを適切にアセスメントし、必要な個別指導により支え、学級担任との支援の在り方の方向性が見いだせれば退級するといった「入りやすくて出やすい」教室であるべきである。と考え、教室を運営してきた。
すでに設置されている言語や情緒の通級指導教室を利用するためには、医療機関における診断を元に教育委員会に申請をし、措置の変更として入級する必要がある。しかし、在籍教室において支援の在り方を検討する必要のある児童は少なからず存在することから、従来のように教育委員会の措置を待っての入級では「入りやすく出やすい」環境とはならない。教室の本来求める姿により近づけるために、本教室では、@本人の納得A保護者の承諾B担任の要請という3つの要件が揃い、その上で校内委員会により入級が必要と判断されれば入級をするシステムをとるようにした。いわば全通級児童が教育委員会による措置決定によるのでなく「教育相談」扱いによる通級を行っている。
また、「出やすい」を具現化するための手立てとして、個別の指導計画において、その指導内容を達成するための目標時間数や期間を明示するようにし、一定期間終了時に本人や保護者、担任と成果を協議することにより継続か退級かを判断できるようにしている。
これらの手立てにより、必要な支援を必要な時に行い、より多くのお子さんが自然に教室を利用できる環境を構築していきたいと思っている。
加えて、通級指導教室における指導だけでなく、通級児の在籍教室での指導に支援に入ったり、それ以外の学級に対しても依頼を受けて授業観察を行ったりしながら、支援の在り方について、担任とともに考えるスタンスをとっている。
ここまで本文です。
各地で実践されておられる先生方や保護者の皆様からご意見を頂けると嬉しいです。
どうぞ、よろしくおねがいします。