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LD通級教室の担任となり4年。子どもたちに育てられてきた実感をもっています。そんな日々の実践を残すことで、全国の皆さんと交流出来たら嬉しいです。10日、20日、30日の更新を目標にしています。
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18年度よりLD通級教室を担任しています。SENS受講生です。
臨床発達心理士を取得しました。

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変わるもの 変わらないもの [2010年04月30日(金) ]
まさにあっという間に4月が終わりました。

西風のLD通級担任としてのお仕事も5年目に入ります。
「教室の立ち位置とは」であったり、「どんな関わり方が必要なのか」であったり、「特別支援教育全体の流れを整えることであったり」と考えるべきことはたくさんあり、年度中は「来年こそ!」っと思いながら実践をするのですが、いざ4月になるとその慌ただしさにかまけてなんら有効な手だてをとることができずに動き出してしまいます。

ちょうど昨年の今頃は「通級の時間割とは」どのようなスタイルが適切なのだろう。などと考えていましたが、結局今年も例年と大きく変わらない形でのスタートです。

唯一変わったのは・・・
「放課後枠を新設しました」
これまで、午後の授業枠は5時間目と6時間目の2枠であり、他校通級のお子さんはその2枠を連続してとっていました。

私の勤務時間としては、指導の後に記録をまとめる時間を設けることもできますし、お子さんも結局7時間授業になっちゃうので、これまで要請があっても放課後指導はお断りしてきたところだったのですが、通級されるお子さんの増加が予測されること、また、高学年のお子さんが増えてきたことなどにより放課後コマを他校限定で開設しました。

他の通級教室では以前から枠を設けておられたところも多くあられるとはお聞きしますが、一人担任のLD通級として踏み込むか否か難しいところです。

自分の体力に任せ、よかれと思い、始めたことが今後の担当者の過剰な重荷となるのは本意でないですしね。

教師としての身分と立場
「分をわきまえる」といいますか、いろんな意味で視野を広く持ち取り組みたいものです。


と、いいながらただいま神戸市滞在中の西風です。
夜には以前の講演でのご縁から、兵庫県小野市にて「ビジョントレーニング」のお話をさせていただきます。

明日は大阪、明後日は東京でSENS講習。

素晴らしいご縁との出会いを楽しみに、「分をわきまえ」ずに飛び回ってます(笑)。



昼食は三宮センター街地下の「SAVOY」というカレー専門店でした。
学生時代から三宮にでてきたときはこちらでご馳走になっているのですが、20年経った今も変わらぬ味に懐かしさがこみ上げました。

狭い店内はもちろん、壁のスパイス缶、ピクルスの種類やサラダのドレッシングも変わらず、また、唯一尋ねられる店員さんの一言「ご飯の盛りはいかがしましょう」も同じです。

長い年月、ここまで変わらないでいられるというところに軽い驚きを感じました。おそらく変わらないための大変な努力をなさっているのでしょうね。


特別支援教育の流れの中で、私たちの周りの環境は大きく変わろうとしています。
変化をめざすべきところと変化しないところ。

目先にとらわれることなく取り組まなくちゃと思いを新たにしました。

また、「変わることのみが前進ではない」のだとも確認です。





おまけ
店員さんから「ご飯の盛りは?」と尋ねられた隣の席のナイスミドルな男性がどう答えたか

「ちょっと多めな感じで」

素晴らしいニュアンスの響きに店員さんも厨房に対して「ちょっと多めな感じでお願いしまーす」

それでも何事もなくでてくるカレーに
さっすが関西!と思ったのは、もしかしたら店内で私だけだったかも
Posted at 13:08 | 教室運営 | この記事のURL
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サラマンカ宣言・声明から見えるもの(3) [2009年11月10日(火) ]
前々回からのシリーズの第3弾になります。

LD通級教室の担任として3年半の間仕事をさせてもらう中で、常にもやもやとした気持ちを持っていました。
この教室は、子どもたちに対しどのようなスタンスをとるべきか、校内外の機関(在籍教室や医療、福祉など)との関わりの中でどのような位置づけを狙っていくのか。また、発達障害に対する啓発をどのような方法で、どの程度行うべきなのか。

義務教育の現場に位置するLD通級が今後どのように展開されるべきなのかについて、現在の特別支援教育の源流である「サラマンカ宣言と付帯する声明」を読み返すことで、自分なりの考えをまとめてみました。

読みにくくはありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。

構成としては
@LD通級指導教室設置の背景
A本教室の歩み
B本教室の教育課程
C運用上の危惧
DLD通級教室は必要か
Eまとめにかえて
としています。

前回までに@とAとBを紹介しました。
http://edublog.jp/nagasaki-northstars/archive/26
http://edublog.jp/nagasaki-northstars/archive/27

今回はいよいよ最終編
C運用上の危惧
DLD通級教室は必要か
Eまとめにかえて

に、ついて掲載します。

(太字で斜体になっている部分は「サラマンカ宣言・声明」からの引用です。)

≪ここから本文です≫

4.運用上の危惧 
前項でも述べたが、LD通級指導教室を、学力不振児に対する個別指導を行う場としてはならないと考えている。いわば、習熟度別に子どもをレベル分けし、その最低位の児童を集めて学習を行うようなスタイルとなることは最も危惧されることである。しかしながら、現在のような、学校や担任の裁量に大きく委ねる状況ではそのようになることも十分に予想されるのが現状である。

 また、発達障害の認知が社会に広まるにつれ、高機能自閉症やアスペルガー症候群、AD/HD、LDなどその障害名を職場で耳にすることも増えてきた。それぞれの障害に応じて、接し方を心がけたり、学習内容を検討したりすることは必要なことであることは間違いないが、眼前の子どもをカテゴリーに分けて対応をあてがったり、その行動のすべてがあたかも障害に起因しているかのようなとらえかたには非常に危惧を覚える。子どもたちの行動は、周囲や環境との相互作用に依るところが大きく、その部分を適切にするために関わることこそ教師に求められていることだという認識を忘れてはならないと思っている。

 あまりにも長期にわたり、障害をもつ人々の諸問題は、彼らの潜在的可能性に対してよりも、むしろ彼らのインペアメント(機能障害)に焦点を向けるという問題をはらんだ社会によって作りあげられてきたのである。

 加えて、LD通級を担任する教師は、支援ニーズのある児童生徒に対する正しい理解と、適切な支援を提案し実施する能力を有する必要があると言える。しかしながらそのような専門性のある教師は絶対的に不足しているのが現状である。実際に、ある年度の中学校におけるLD通級の担当者は多くが臨時任用者であったり、毎年のように担当者が代わる教室があったりすることも事実であり、継続した支援を行うことが難しくなっている。
 
 また、教室自体がすべての学校に配置されていないため、自校に教室がある場合と無い場合に、受けられる支援の質や量が変わってしまうことも大きな課題である。


5.LD通級は必要なのか
 サラマンカ声明は、「インクルーシヴ校」の基本的原則について以下のように述べている。

 すべての子どもは何らかの困難さ、もしくは相違をもっていようと、可能な際はいつもともに学習すべきものである。
 インクルーシヴ校は、さまざまな学習スタイルや学習の速さについて調整をしながら、また、適切なカリキュラムと、編成上の調整、指導方略、資源の活用、地域社会との協力を通じ、すべての子に対し、質の高い教育を保障しながら、生徒の多様なニーズを認識し、それに応じなければならない。
 インクルーシヴ校内で、特別な教育的ニーズをもつ子どもたちは、彼らの効果的教育を保障するのに必要とされるあらゆる特別な支援を受けなければならない。


 この原文を読み解くと、「すべての子どもたちは個に応じた支援システムにより、効果的な教育を受けることが保障されるべきである」と言えるのではないか。
 つまり、教師は、担任するすべての児童生徒に対して、そのニーズを吸い上げ必要な支援を行い、学力を保障すべきである。その流れの中で我々は、原級復帰や通常学級定員の引き下げ、教師の資質向上のために研修権の保障を求める取り組みを繰り広げてきた。この一連の行動はサラマンカ宣言及び声明によって妥当であったことが国際的に認められたと言える。
 
 実際にLD通級の担当者として児童と関わっていると、「学び方の違う」児童がいることをあらためて感じる。
 聴覚的な指示により物事を理解することに長けている子どももいれば、視覚的な指示であればすぐに把握できる子どももいるし、眼球運動の未発達により我々が見ている周囲と異なる見え方をしている子どももいる。また、周囲の音や匂い、光に過敏に反応しすぎることにより学習に継続して参加できなかったり、相手の表情や言葉のどの部分に注目すれば気持ちをくみ取ることができるのかを理解しにくかったりする子どもがいるのも事実である。
 このような子どもたちにとり、その特徴的な学び方は生来有しているものであり、他者との違いについて、自発的に気づくことは難しいものと思われる。これまでの教育現場においてもその「報われなさ」が意欲を減退させ、2次的な問題を生じた例が多く報告されてきた。

 「通常教室ですべての教育的ニーズのある児童に応じた関わりができるようになること。」これはサラマンカ宣言及び声明の求めるインクルーシヴ校の到達点だと定めることができる。

 しかしながら、現状の教育システムにおいてそれを実現することは限りなく難しいと思われる。なぜなら多様なニーズに応じるためには、多様な方法論を学び、指導法を習得した熟練した教師が必要であり、かつそれが全員である必要があるからである。また、それを遂行するためのシステムやツールの整備も当然十分ではない。

 だからこそ、LD通級指導教室により、適切なアセスメントを行うことや、個に応じた学習から明らかになったことをもとに、必要な支援の在り方を構築していくことに意義が生じると考えられる。
 加えて、インクルーシヴ校の具現化に向け、校内における各教育活動が、すべての子どもを排除せずかつ適切な機会を提供しているか、点検し推進する立場の存在としても価値があると言える。

 これらのことから、現時点において、校内に在籍教室と有機的に連携するLD通級指導教室が存在することは必要であると考えている。


6.まとめにかえて
 「ニーズを有し、支援を必要とする児童生徒」とは、「適切な支援によりニーズが満たされれば学習への参加が促進される児童生徒」であると言える。

 「すべての子どもを普通学校から排除しない」というサラマンカ宣言及び声明の理念が具現化されるためには、教育現場による着実な実践と、適切な教育システムを構築するための政治的な制度改革が相伴ってこそ達成されるはずである。
 特別支援教育やLD通級指導教室のシステムが、あらたな差別を生み出すものとならないよう、取り組みを常に点検しながら実践したいという思いを新たにしている。


 インクルーシヴな方向性を持つ普通学校こそが、差別的な態度とたたかい、喜んで受け入れられる地域を創り、インクルーシヴな社会を建設し、万人のための教育を達成するための最も効果的な手段である。

 この言葉を胸に、今後の教育実践を進めていきたい。


≪ここまで本文です≫

 最終章に引用したように、インクルーシブな世界を今後目指していくためには、次代を担う子どもたちに、その社会である「学校」において、インクルーシブな世界を体感させ、将来、自然とその素地が滲み出てくるように関わっていくことが必要なのだと思いを新たにしています。

 目の前の子どもたちが社会の牽引役となる頃、また、そのお子さんたちが巣立つ頃、「インクルーシブ」という言葉すら必要でないほどの共生社会が築かれていることをイメージしながら、今後も実践を積み重ねていきたいものです。

 最終章までお付き合いありがとうございました。

 お読みいただいた皆さん。多くの方がなんらかの形で子どもと関わっておられることと思います。今後もインクルーシブな社会を目指す仲間としていろいろと教えてください。
 共に励みましょう。
Posted at 14:26 | 教室運営 | この記事のURL
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サラマンカ宣言・声明から見えるもの(2) [2009年10月30日(金) ]
前回からのシリーズの第2弾になります。

LD通級指導教室が全国的に運用をされ始めて3年と半年が経ちました。

これまで、情緒や言語の通級指導教室や、支援学級の先生などの弾力的な運用などにより、通常教室で学びながらも、特徴的な学びのスタイルを有するお子さんに対しての支援がなされてきました。

その歩みを受け継ぎ、私が担任させていただいているLD通級教室は子どもたちはもちろん、学校全体に望ましい影響を及ぼし、ひいては将来的にインクルーシブな社会を構築していくために正しく機能しているのだろうか。
と、いう部分に立ち止まって書かせていただいたリポートを紹介いたしています。

読みにくくはありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。

構成としては
@LD通級指導教室設置の背景
A本教室の歩み
B本教室の教育課程
C運用上の危惧
DLD通級教室は必要か
Eまとめにかえて
としています。

前回に@とAを紹介しました。
http://edublog.jp/nagasaki-northstars/archive/26

今回はB「本教室の教育課程」について紹介します。
このブログで、かねてより発信してきたことではありますが、あらためてまとめています。


ここから本文です

3.本教室における教育課程 
 通級指導教室の担任として、担任からの依頼による在籍教室への観察、保護者や担任との教育相談及び通級指導教室における個別や小集団指導を行っている。

 通級指導教室における個別・小集団指導については、アセスメントを行いながら関わる段階を経た上で、以下の4つの項目を立て、必要な教育課程を検討し行っている。

@ビジョントレーニング・視知覚
A巧緻性を高める
B社会性を高める
C教科の補充学習

具体的には以下のとおりである。

@ビジョントレーニング・視知覚について
 「目」という感覚器官は生活場面のみならず、学習場面を含めて、情報の入力器官として大変重要な働きを持っている。
 教室を訪問した際に、板書の転記に時間がかかってしまったり、音読の際に逐字読みになってしまったりする児童をよく見受けるが、視力自体に問題がない場合には、本人の努力や能力の不足であると思われることがあるようである。
そのような状態の子どもに対し、眼球運動の滑らかさをアセスメントし必要な練習方法を保護者に提案したり、学級担任と協力して平素の授業における望ましい支援の在り方を考えたりしている。



A巧緻性を高めるについて
 手指などの微細な動きや、体全体などの粗大な動きまで、自分の体をうまく操作できないことにより、本来有している能力が発揮されにくかったり、そのことによりやる気を失ったりしてしまっている子どもを見かけることがある。
 そのような子どもに対し、感覚統合理論をベースに固有受容覚を高めたり、前庭感覚刺激を入力したりすることにより、行動上の不器用さや感覚の過敏さが和らぐような学習を行っている。




B社会性を高めるについて
 個の社会性はあくまで社会の中で育てるべきである。
SSTの流行から個別指導における社会性を高める教育が有効であるという実践を聞くことが多くなったが、あくまで集団の醸成が第一義であることを繰り返し伝えていきたい。また、そのためにも、依頼があった学級に対して、集団の社会性を高めていくために取り扱うべき内容や活動の進め方をともに考えたり、必要に応じて授業支援を行ったりしてきた。
 が、現実には子どもによって「心の理論課題」の通過が難しかったり、注意が激しく移り変わることやこだわり行動が強かったりすることなどにより、集団の中での円滑な対人関係を紡ぐことが難しくなり、苦労している子どもを目の当たりにすることもしばしばである。
 そのような子どもに対して、個別もしくは小集団の場で、ルールのあるゲームをともに楽しんだり、自己の感情の移り変わりを認識できるような手立てをとったりしながら学習を行っている。





C教科の補充について
 もっとも扱いが難しい内容である。
 通級指導を必要とする児童には、圧倒的に在籍教室での学習が分かりにくい子どもが多い。
 保護者や担任の中にも、そのような児童に対して補充学習を行うのが通級指導教室であるととらえる風潮になりがちである。
 しかしながら、当該学年における学習の習得に対し、責任を持ち支援することこそが学級担任の責務であるというスタンスを崩すべきではないと考えている。
 そのためにも通級指導教室としては、対象となる児童がどの部分までの学習内容を理解しているのか、現時点でどのような支援を必要としているのかを明らかにすることを目的として取り組んでいる。
 個別指導により見つけた有効な支援を、担任と交流し、平素の学習において、活用されるようになることを目指して、今後も取り組んでいきたい。

 加えて、子どもたちが、主体的な学習者として自発的に学習に取り組むようになることは、将来的な技能の向上に大きく寄与するため、スケジュールを用いて見通しを持たせることや、支援ツールを自分で操作し活用することについても重点的に取り組んでいる。



ここまで本文です。

さて次回はいよいよ本リポートの中心部分になります。

現時点で感じる、運用上の危惧やLD通級はどのような立ち位置で存在するべきかについてまとめてみています。

Posted at 15:51 | 教室運営 | この記事のURL
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サラマンカ宣言・声明から見えるもの(1) [2009年10月20日(火) ]
今回の話題は少し小難しいです(汗)
でも、特別支援教育に水際で携わっている者として、その実践のベースに必ず置いておかないといけない内容であるとも思っています。

着座姿勢を整えるシリーズもまだまとめ切れていませんが、ご容赦ください。

さて、
ある研究会においてリポートを発表する必要が生じました。
私が現在携わっているLD通級指導教室についてその実践をまとめていくにあたり、教室開設時から拠り所としてきた「サラマンカ宣言・声明」を読み返し、教室運営との整合性をみつめてみました。

構成としては
@LD通級指導教室設置の背景
A本教室の歩み
B本教室の教育課程
C運用上の危惧
DLD通級教室は必要か
Eまとめにかえて
としています。

今回はAまでの中で、必要な部分を抜粋して紹介させていただきます。
なお、書き上がったばかりのため、文章がねじれていたり読みにくかったりする点についてはご容赦ください。



ここから本文です。

表題は「LD通級指導教室はどこへいく〜サラマンカ宣言・声明との整合性をもとに実践を振り返る」としています。

1.LD通級指導教室設置の背景
 1994年6月にスペインにて行われた「特別ニーズ教育世界会議」において、92の政府と25の政府間組織が批准したサラマンカ宣言はその第2項において以下のように宣言している。

・(前略)幅の広い性格やニーズを考慮して、教育システムが作られ、教育プログラムが実施されるべきである。
・特別な教育ニーズを有する人々は、そのニーズに見合った教育を行えるような子ども中心の普通学校にアクセスしなければならない。(後略)


 このような世界的なインクルーシヴの流れを受け、我が国においても「特殊教育から特別支援教育」への転換を合言葉に様々な変化が見られるようになった。
 その変化の一つが、「特別支援教室構想」である。
「特別支援教室」という名称は、「今後の特別支援教育の在り方(文科省調査研究協力者会議2003)」の中ではじめて使われ、特別支援学級の担任や関わる教師、通常教室で学ぶ発達障害のある児童生徒への個別支援など「弾力的な運用」という手法によって展開されるようになった。
その後、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)(中教審 2005)」を受け、2006年度には、LDやAD/HDの児童に対応するために全国で282人の加配がなされ、発達障害に特化した通級指導教室が全国的に開設されるようになった。
加えて、2006年「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立(改正法は2007年4月より施行)。この改正により特別支援教育が新たな段階に入ったことから、2007年度は教育関係者の間で「特別支援教育元年」などとも呼ばれている。

これらの変化を概観すると、サラマンカ宣言の謳う「ニーズに応じた教育システムやプログラムの実施による、すべての子どもの普通学校への就学」の理念に合致しているが、実際の現場ではどのように運用され、どのような成果が見られ、また課題が明らかになってきているのであろうか。



2.本教室の歩み
 本校においては、筆者が赴任する2年前より特別支援学級担任をはじめとした、関係職員の「弾力的運用」により、支援を必要とする児童に対しての個別指導や入り込み指導が行われていた。
 その実績を元に加配申請をし、本通級指導教室が開設されたと聞いている。

 赴任当時、すでに通級指導教室入級予定者リストが作成されており、9名の子どもの名前が挙がっていた。前年度から「弾力的運用」による取り出し指導を受けていた者を中心に、隣接校からも3名の児童が含まれていた。

 指導を開始するにあたり、各児童の観察、保護者及び担任との面談を行い、ニーズの吸い上げを行うことがはじめの仕事であった。「教室が開設されたら入級するか」といった漠然とした説明がなされていたため、多くの保護者に対して、教室の求める方向について再確認することが必要であった。
 同じように、学校職員にとってもLD通級指導教室は未知の存在であり、その存在の意義や目的について、担当者が構想を立て周知していく必要があった。

 開設者である県教委は4月中旬に担当者を集め、教育センターにおいて研修会を行ったが、学校教育法改正に伴い、通級指導の対象者がLDやADHD児童にまで広がることと、週あたりの指導時間数が柔軟になることなどの説明に終始し、教室が目指す理念や具体的な姿についてまで踏み込んだ話はなく、担当者の創意工夫に期待するという、いわば担当者丸投げの状態でのスタートとなった。その後も県主催の研修会などは企画されず、いまだに各地域で独自の取り組みがなされている。

 では、本教室がめざすべき姿とはどのようなものであろうか。この点を煮詰めていく必要性があった。

 サラマンカ声明はその前書きにおいて、「万人のための学校」について以下のように述べている。

 「万人のための学校」−すべての人を含み、個人主義を尊重し、学習を支援し、個別のニーズに対応する施設に向けた活動の必要性の認識をもつこと

 この立場に立ち、LD通級指導教室の存在意義を考えると、学校は「個別のニーズ」に応じながら「学習を支援」し、「すべての人を含む」場となるべきであり、それを具現化するための専門的なリソースとして教室が位置するべきであると思われた。
 つまり、学び方が違う子どもたちそれぞれに応じた支援の在り方を、構築、実践、提案することにより、すべての子どもがともに過ごすことができるように整えることこそが役割であると考えている。

 そこで、本教室の校内における位置づけとして以下の2点にまとめ、全職員及び保護者への周知徹底を行っている。

@当該学年の学習やその支援については学級担任が行う。
A通級指導教室では、そのお子さんのもつ認知スタイルや得意な学習様式を、アセスメントや個別指導を通して明らかにしていき、教室での支援のためのフィードバックを行う。


 当然のことであるが、1週間に30時間近く過ごす在籍教室における支援が進み、個のニーズに応じることができなければ、その児童にとり適切な教育がなされたとは言えない、そしてその支援を行うのはあくまで学級担任である。
 LD通級指導教室は、個別や少人数で学ぶことにより、学びの特徴をとらえ、学級担任にフィードバックすることを通して、在籍教室におけるより良い支援がなされるようにしたいと考えている。
 つまり、学校におけるLD通級指導教室は、第一にアセスメントの役割を担う場所であり、子どもたちを支える具体的な支援はあくまで学級担任によりなされるべきである。

 この立場に立ち本教室は、在籍教室における学習が何らかの原因により難しいお子さんを適切にアセスメントし、必要な個別指導により支え、学級担任との支援の在り方の方向性が見いだせれば退級するといった「入りやすくて出やすい」教室であるべきである。と考え、教室を運営してきた。

 すでに設置されている言語や情緒の通級指導教室を利用するためには、医療機関における診断を元に教育委員会に申請をし、措置の変更として入級する必要がある。しかし、在籍教室において支援の在り方を検討する必要のある児童は少なからず存在することから、従来のように教育委員会の措置を待っての入級では「入りやすく出やすい」環境とはならない。教室の本来求める姿により近づけるために、本教室では、@本人の納得A保護者の承諾B担任の要請という3つの要件が揃い、その上で校内委員会により入級が必要と判断されれば入級をするシステムをとるようにした。いわば全通級児童が教育委員会による措置決定によるのでなく「教育相談」扱いによる通級を行っている。
 また、「出やすい」を具現化するための手立てとして、個別の指導計画において、その指導内容を達成するための目標時間数や期間を明示するようにし、一定期間終了時に本人や保護者、担任と成果を協議することにより継続か退級かを判断できるようにしている。

 これらの手立てにより、必要な支援を必要な時に行い、より多くのお子さんが自然に教室を利用できる環境を構築していきたいと思っている。

 加えて、通級指導教室における指導だけでなく、通級児の在籍教室での指導に支援に入ったり、それ以外の学級に対しても依頼を受けて授業観察を行ったりしながら、支援の在り方について、担任とともに考えるスタンスをとっている。

ここまで本文です。




各地で実践されておられる先生方や保護者の皆様からご意見を頂けると嬉しいです。
どうぞ、よろしくおねがいします。
Posted at 23:07 | 教室運営 | この記事のURL
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プラトーを越えて [2009年09月10日(木) ]
2学期も始まり10日が経ちました。
校舎から、子どもたちの元気な声が聞こえるのはやっぱりいいものですね。

西風の通級教室での授業も今週からスタートしました。
長い夏休みをそれぞれの社会で思いっきりエンジョイし、無事に学校に戻ってきてくれた子どもたちと、楽しみながらお勉強をさせていただいています。

長期の休みを挟んで、お子さんと久しぶりに向き合うとその成長ぶりに驚くことがあります。まるで帰省してきた親戚の子どもがいきなり大きくなったように見えてびっくりって感じですね(笑)

毎週向かい合っていると、ともするとお子さんの成長に鈍感になってしまうように感じます。

できるようになったことを喜びあいながら進めていきたい。という気持ちはあるものの、どうしても克服が進まない、思うように高まらない部分に、焦りを覚えてしまう自分を嫌というほど感じてしまいます。

でも、しばらく会わないと、子どもたちはやっぱり育っているんだ!と新鮮な気分になりますね。もちろん私からの教育的なアプローチをしていない期間ですので、子どもたちが保護者の方や友だちや自然環境などの働きかけにより成長してくれているのですが、やはり嬉しいものです。

例えば
★さんの保護者さんは、★さんのご家庭での生活の様子をビデオで撮って持たせてくださいました。聴覚障害があり、指示がなかなか入りづらい★さんですが、画面にはお姉さんのピアノに合わせて歌ったり、一緒に本を読んだり、花火をしたりと笑顔いっぱいの姿が溢れていました。発語ははっきりとはしませんし、対話が続くわけではないのですが、二人の間には正しい意思の疎通がありました。コミュニケーションをとるために「発語を引き出そう」「少しでも明瞭な発音を」と1学期に取り組んできましたが、コミュニケーションの要素は、「音声言語」のみでなく「表情」や「身振り」などノンバーバルなものも重要であるという当たり前のことを、二人の笑顔が思い出させてくれました。

☆さんは、逐字読みが強いためビジョントレーニングに重点を置き個別指導をしてきました。DEMの結果なども徐々によくなってはいましたが、先日休み明けに検査したところ「驚くほど」向上していました。夏休み中とにかく遊びに力を尽くし、完全燃焼だったようで(体も真っ黒)とてもいい表情をしていました。

○さんは、周囲のお友だちとの関わり作りがうまくいかず、カウンセリング的に通っているお子さんです。久々に合った○さんに「最近どう?」と尋ねたら、「夏休み楽しかったー」と笑顔です。でも続けて「通級にはくる〜」とのことでしたが(汗)

▽さんは、両側統合が難しく、筋緊張も強いために、クロールで泳ぐと、左右のバランスも、上肢と下肢のリズムも合わないので、バタバタクネクネとなり一向に前に進まなかったのですが、夏休みの間に前へ進む自分なりの泳ぎ方を編み出し(犬かきっぽくですね)ど根性で25メートルを泳ぎ切りました。


そんな様々な子どもたちの姿を見て、学生時代に学んだ「プラトー」という言葉を思い出しました。

ブライアンハーターという心理学者が提唱した「練習の階級説」の中に出てくる、「練習の高原」状態を「プラトー」と言います。「プラトー」とは英語で「高原」「台地」を意味するものです。

ある物事を上手になろうと練習を始めると、しばらくは練習量に比例するようにその成果(スキルの向上)が現れてきます。

しかしその状態はいつまでも続くのではなく、ある段階から、練習をしてもしても成果がなかなか上がらない段階となってしまいます。
この「練習しても伸びない」状態を「プラトー」と呼びます。練習量も変わらない、意識も落ちているわけでもない、でもなかなか伸びない。多くの方がいろんな場面で経験されることではないでしょうか。

実はプラトーはいつまでも続くわけではなく、ある期間が過ぎると・・・ある時は突然に、ある時はきっかけを伴い、またスキルの向上がめざましい時期に入ります。

そして、いつしかまたプラトーとなり、粘り強く地力をつける期間がやってくるわけです。

この繰返しを経ることによって技能が向上していく。これが「練習の階級説」です。

競技スポーツをなさってこられた方、ダイエットに挑戦したことがあられる方はきっと実感をもって理解していただけるかもしれませんね。


子どもたちの育ちを見ていると、確かにぐいっと伸びる時期となかなか伸び悩む時期があります。
ぐいっと伸びる時期はどんどん刺激を与え、賞賛を与え、ともに喜びを実感しあえますね。
その時期に、様々な体験に触れさせ、チャレンジし、伸びを認め合うそんなサポートにより、学力もセルフエスティームを高めていきたいものです。

しかしながら、真に我々支援者の存在が求められるのは、まさに「プラトー」の頃なのかもしれません。頑張ってもなかなか伸びを実感できない、そのうちに頑張る方向を見失いがちになる。そんなときにこそ、「そっと寄り添える」、そんな教師でありたいものです。
この「そっと寄り添う」案配こそが教師のセンスなのかもしれませんね。



そういいながら、自分自身の伸び悩みを「おっ俺ってプラトー?」なんて思っている西風でした(笑)
でも、プラトーってその間にたゆまず努力するから、また伸びるんですよね。「果報は寝て待て」じゃあないので、残念ながら現在の西風は、夏休み疲れによる単純な「スキルの低下」のようです(汗)
Posted at 09:02 | 教室運営 | この記事のURL
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通級の時間割を組もう(3) [2009年06月20日(土) ]
18年度より制度化された「LD、ADHD等の児童に対する通級教室」において、望まれる適切な時間割とはどのような姿か、考えています。

今回は、これまでの思考の流れから、私自身のイメージをまとめてみました。
現在行っていることではありません。あくまで、私にとっての理想型だと思って読み進めて下さいね。


前回までのブログで、
@単位時間の授業スタイルのバリエーション 
A現在の教室の時間割 
B教室運営上の都合とそれぞれのお子さんの学びの実態の双方の観点から考える必要があること
について、考えを進めてきました。

http://edublog.jp/nagasaki-northstars/category_4/

今回は、それぞれのお子さんについて、どのように関わるかを軸に考えていきます。

確認になりますが、西風の教室では、運営の大前提として以下の2点を全職員と共通理解しています。

@当該学年の学習やその支援については学級担任があくまで主役。
A通級教室では、そのお子さんのもつ認知スタイルや得意な学習様式を、アセスメントや個別指導を通して明らかにしていき、教室での支援のためのフィードバックを行う。


特にAが教室の立ち位置を表現しています。

つまり、それぞれのお子さんに対する指導の流れは、
第1段階「アセスメント期」
第2段階「支援ツールを習得する個別指導期」
第3段階「支援ツールを用いた自立期」

と、3段階でとらえることで整理できないかと考えてみました。

それぞれについてもう少しつっこんでみます。
第1段階「アセスメント期」
児童保護者相談、教室訪問、担任面談などを通して、お子さんの現状をとらえることをとりかかりに、通級教室において、発達検査などのフォーマルアセスメント、各教材への取り組み状況などによるインフォーマルアセスメントを行い、必要な支援の在り方を検討していく期間。学習内容を選定し、個別の指導計画により、通級教室の関わり方を構築していく。

第2段階「支援ツールを習得する個別指導期」
指導計画に基づき、個別の指導を行いながら、お子さんにあった支援の在り方を検討する期間。
また、それによって得たツールの使い方に対して、子どもとともに操作、活用しながら習得していく期間。

第3段階「支援ツールを用いた自立期」
スケジュールに従い、支援ツールを活用しながら、自主的に課題に取り組む
期間。


つまり、
第1段階と第2段階では、教師が積極的に関わりながら、子どもに寄り添いつつその子に合った支援の在り方を構築していき、
第3段階では、子どもたちがそれぞれに自発的に学び、戸惑ったときに教師の助けを借りるようになっていくという風にとらえてみました。

また、アセスメントで小集団でのSSTが必要と判断されたお子さんについては、SSTの授業を講座開設方式で対応し、必要な期間の指導を行おうと考えています。

加えて他校枠は基本的に午後に設定し、保護者の便宜への配慮をしました。

その考えで作成したのが以下の時間割です。


@第1段階と第2段階は個別指導を中心に、かつ第2段階が関わりの中心となるため枠数を増やす。
A第3段階は、各自の課題を設定し、支援ツールを活用し、スケジュールに従いながら自習を行うため、少人数一緒に授業を行う。
BSSTは内容を特化して設定し、少人数指導を行う。
C午後は基本的に他校枠とする。


現時点で、私が思うLD通級教室の理想的な時間割はこのような形です。
皆さんのご感想をお聞かせいただければありがたいです。遠慮なくコメントをお寄せくださいね。


また、読んでいただいた皆さんが疑問にもたれるのは、教育委員会措置など、通級教室への入級要件や退級要件がどのようになっているのかという部分があると思われます。

西風の教室では、教育委員会から措置されて入級ではなく、校内委員会で検討し入級を判断しています。
このあたりもLD通級のよりよい形を探っていくためには、避けては通れない話題ですね。

長文へのお付き合いありがとうございました。
Posted at 02:31 | 教室運営 | この記事のURL
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通級の時間割を組もう(2) [2009年06月10日(水) ]
LD通級の時間割ってどんなスタイルが適切なのでしょうか。
毎回毎回試行錯誤して設定しています。

それなりの形で安定してきてはいるのですが、LD通級としてこれがモアベターなのかと常に気になっているところです。

過去ログ「通級の時間割を組もう@」から若干空きましたが、続きのもやもやを考えて行かせて下さい。
http://edublog.jp/nagasaki-northstars/archive/10

現在の西風の教室の時間割は以下のようになっています。

週に2時間の通級のお子さんが5人 週2時間+月に1時間が1人 週1時間が4人 月に1時間が1人 他校から1人 と12名のお子さんが通ってきてくれています。

ちょっと見にくいですが、以下の写真のように週の基本時間割を組んでいます。
個別指導を中心に、週に2時間小集団によるSSTを設けているところです。


こうして一覧してみると、空き時間はけして少なくはないのですが、教育相談や他校・他機関への訪問、通院の帯同などが間に入ってくるので、実際にはずいぶん余裕がなくなってきました。加えて入級を検討しておられる方もあり、このままでは限界が見えてきそうです。

では、LD通級にとって適切な時間割とは・・・考えてみます。

まず、本教室運営のベースは、以前「LD通級3年の総括@」に書かせていただいたように、以下の2点を置いています。
http://edublog.jp/nagasaki-northstars/archive/5

@当該学年の学習やその支援については学級担任があくまで主役。
A通級教室では、そのお子さんのもつ認知スタイルや得意な学習様式を、アセスメントや個別指導を通して明らかにしていき、教室での支援のためのフィードバックを行う。


時間割を立てる際も、この原則を具現化する考えのもと行うべきですね。
となると・・・

と、いつも考えてはアイディアが浮かばず、の繰り返しでした。
時間割作成作業上では、どうしても、各在籍教室との調整がからみ、通級指導教室がイニシアティブをとることが難しいものです。
AさんとBさんを一緒にお勉強したいと考えても、専科の授業や、週に1時間しかない道徳や学活が入っていたりして、思うようには組むことはもちろんできません。
と、なると、無難に時間をちりばめて個別対応がいいのかなあとなってしまうわけです。


今回1カ月程度、この話題をいつも頭の片隅で考えてきましたが、最近気づいたことがあります。

それは、「週の時間割をどうするか」にばかり視点を置くから堂々巡りになるのではないかということです。
「週の時間割」をどうするかと考える視点に、「子どもの学びの実態」はありません。あるのは、「私の勤務の実態」です。

もちろん、一人で教室を運営している以上、「私の勤務の実態」は無視できるはずはありません。が、これまでの私の思考回路には、「子どもの学びの実態」は抜け落ちていたのです。

互いのウェルバランスを見つけることが必要なんだと、最近は考えるようになりました。

つまり、「お子さん一人ひとりに対する通級教室の関わりの流れを、ある程度システム化して整理することで、打開点が見えてくるのでは」、と思っています。


このように、少しずつ練ってきた考え、次回に向けてまとめていきます。

「通級時間割シリーズ」は2回でと考えていましたが、3回になってしまいます。ご容赦をお願いしますね。

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通級の時間割を組もう(1) [2009年05月10日(日) ]
LD通級の時間割とは、どんなスタイルが適切なのでしょうか。

担任も4年目となり、都合10回の時間割を作成してきましたが、毎回「これでいいのかな」という思いを残します。

今回は、頭の中にあるそのもやもやっを書き起こしながら、2回にわたり、考えを練っていきたいと思います。
お読みいただいた方で、日ごろ考えておられることや実践されていることがあられましたら、コメントを寄せていただければありがたいです。

さて、私なりに考えつく3つのスタイルごとに、長所と短所を考えていきます。

@完全個別指導スタイル
 通級指導が必要なお子さんを一人ずつ受け入れて、個別指導を行います。
 一人一人に合わせた指導が出来たり、記録を詳しくとれたりするため、きめの細かい指導ができます。
 また、ストレスを強く抱えており、カウンセリング対応が必要なお子さんに対して、十分な関わりを持つことができます。
 反面、人数×時間数分の指導コマが必要となり、私の指導時間との関係で多くのお子さんを受け入れることができなくなります。
 加えて、SSTなど社会性の伸長を求めたり、表出を生き生きとさせたりしたいときに、私と二人では難しいこともあります。

Aグループ分けして組む
 近隣の情緒障害の通級教室で取り入れられています。
 学年やお子さんの特徴により、数名のグループを作り、グループ単位で指導をします。
子どもどうしの学びあいを促進したり、社会性の伸長をめざしたアクティビティを行ったりしやすいスタイルです。
 また、仲間がいることで、入室する事への抵抗を和らげたり、通級するモチベーションを高めたりする働きがあるのかもしれません。
 反面、個に応じた教材提供や、適した支援を行うには担当者一人では工夫が必要だと思われます。

B講座設定方式
 ○曜日の○時間目は低学年算数の補充学習、△曜日の△時間目は高学年SSTという具合に、通級指導教室の時間割上で講座をあらかじめ開設しておき、必要なお子さんがその時間に入室し指導を受けるスタイルです。
 単位授業における指導の内容がはっきりするので、指導する側はやりやすいのかもしれませんし、各担任の先生から保護者さんに通級指導の案内をする際も、「○○のスキルアップのために通級してみませんか」と案内しやすいのかもしれませんね。
 反面、お子さんに合わせた指導というスタイルからは少し離れてしまうのかもしれません。


 これまで西風の教室では、@を中心に、お子さんによってAを時折位置づけてきました。
 
 現在通級しているお子さんは12名、週に2時間通級がほとんどです。そのほか保護者さんとの相談を継続していたり、入級を希望されていたりするお子さんが10名ほどおられます。

 このままでは、これまでのスタイルだと、ちょっと窮屈になってしまいそうです。

 そこで今学期の時間割ではBを取り入れることにしました。
 設定した時間は、低学年SSTの時間と高学年SSTの時間の2時間です。
 つまり、ほとんどの時間が@で、週に2時間Bということになります。

 Bは運用が難しいスタイルであるとも認識しています。
 LD通級の立ち位置さえ左右する方式なのかもしれません。
が、SSTについては、他者の考えを聞いたり、ともに何かを為したりすることで学習効果を高めることができると判断しました。ただし少人数が望ましいため3名定員で始め、ほかに必要なお子さんがおられたら、コマ数を増やせるよう検討する予定です。

 今学期はこのスタイルで通級指導を開始します。
 年度替わりの引き継ぎがうまくできれば、もっと早く指導開始もできていたのでしょうが、保護者さんと相談をしたり、教室の訪問をしたりしていると、例年この時期になってしまいますね。このあたりも検討の余地があります。


 ここまで、考えられるスタイルの長短所、現在行っていることを書き出してきました。

 では、理想的な通級の時間割バランスとはどこにあるのでしょうか。
 この点については、理想的なLD通級指導教室のあり方がどこにあるのかと密接に関わると思われます。

 次回はその点について考えたいと思っています。









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LD通級3年目の総括(4) [2009年04月30日(木) ]
LD通級の担任をさせていただいて、早いもので4年目に入りました。何もわからない状態からスタートし、特別支援教育という追い風を受けながら、取り組みを進めてきたこの3年間を振り返っています。

今回はいよいよ最終回、4回目となります。
お題は
Cどこまで手を伸ばすか 〜あえてぼちぼち、されどぼちぼち〜
です。

教室を取り巻く皆さんは「LD、AD/HD等の通級指導教室」に何を期待し、何を求めておられるのでしょうか。
お子さんを含めて、そのような周囲のニーズを敏感に感じ、応じることができるように体制を作り、かつ、流されないように軸を持つ。これらのバランスをうまく取ることの大切さ、難しさをよく感じます。
今回はそのそれぞれの立場の皆さんのニーズについて、3年間の実践を通して感じたことを簡単にまとめていこうと思います。

それぞれの立場に応じて、私なりに感じていることをまとめながら総括していきます。以下の5つの立場に分けてまとめてみますね。
@お子さんの立場
A保護者の立場
B教師の立場
C医療の立場
D行政の立場

@お子さんの立場から
 個別指導を受けるということは、お子さんに少なからず心理的負担をかけることを忘れないようにしています。
 いつも一緒にいるクラスメートと離れ、通級に向かうとき、教室に戻るとき、それぞれの場面であたたかい対応を求め続けていきたいです。学級担任の先生には、毎回出来るだけ声をかけ送り出してもらったり、帰ってきたときにさりげなく労って室内に入れてもらうようにお願いしています。
 また、クラスメートには私が出来るだけ教室に出向き、通級するお子さんとの学習の目的や内容をわかりやすく伝え、場所は違えど共に励もうとお話しをさせていただいています。

 そのようにして入室してくれたお子さんに対して、基本的な指導理念は「エラーレス」でありたいものです。もちろん難しい課題を避けるのでなく、既知の課題から徐々に要素を高めていくことになります。そのさじ加減こそが私達に求められているティーチングスキルなのでしょうね。
 よく、「いつも頑張っている子ども達のつかの間の休息地点となり、充電をし、また教室で頑張れるように」というお考えを伺います。まさにその通りであり、「成功体験」を多く積むことで、また、教室で使える補助ツールを手にすることで、意気揚々と戻ってくれたらありがたいものです。

 「成功体験」に加え、使える「ツール」のフィードバックこそをお子さんは求めているのだと思っています。

A保護者さんの立場から
 直接であったり、電話であったりと教育相談を受けることが多くなりました。
 多くの保護者さんが感じておられるのは、我が子の学びや育ちへの不安であったり、ご自身のこれまでの養育への不安であったりすることがあります。
 
 また、個別支援の有効性や必要性を認めながらも、周囲から引き離されるお子さんの思いや周囲の反応をご心配される方も多くおられます。

 それぞれの保護者の方の現在の思いに寄り添い、適切なコンサルテーションを行うことの大切さを感じながら、関わらせて頂いているところです。

 また、通級教室で学ぶお子さんに対して、指導内容を精選し、正確に評価をし、達成が認められたら卒業するという流れを作り、結果として多くのお子さん方に関わることで、特別なお子さんだから通級するのではない、必要な時期に必要な支援を得るために通級するのだという空気を作りたいとも思っています。

B教師の立場から
 多くの通級教室で気を遣われているのが、職場の先生方との関係作りではないかと思われます。一番身近な仲間として、お子さんへの直接支援を、より多く行う主体者として、担任の先生方とは、よりよい協調関係を作りたいものです。

 先生方が求められているのは、そのお子さんへの具体的な支援の方法に他なりません。特性の理解であったり、継続した支援の必要性であったりとお伝えしたいことの中から、将来の自立に向けてのビジョンを忘れず、できるだけ「今」の教室に見合った支援の具体策を提供できるようになりたいなあと思っています。

 時折、最近よくとられる習熟度別学習の中で、最下位に位置するお子さんを、通級担任が個別指導をするということがあるようですが、この運用について、西風は反対です。通級の立ち位置はそこではないという信念は忘れたくないものです。

C医療の立場から
 コーディネーターの仕事と重複する部分がありますが、Drや各療法士さんとの連携はお子さんを困らせないためにも必ず必要と思っています。
 
 投薬が必要なお子さんについては、集団生活の中での様子を正確にお伝えし、また、学校での日常生活で必要なスキルについて、よりマッチした療育を求めていくためにも、各医療機関とは適切な関係作りを保ちたいものです。

 我々は医療の専門家ではありません。が、教育の専門家としての感覚を大切にし、互いに尊重し合いながらお子さんを支えることが出来ることを目指したいですね。

D行政の立場から
 残念ながら、LD通級に対する行政のサポートはけっして厚くないのが現状です。
 始動から4年関わりましたが、県教委主催の担当者研修は、初年度の春に半日開催されただけでその後は残念ながら実施されていません。

 それぞれの担当者が、迷いながらも必死に工夫を凝らし、各教室を運営しているのでしょうが、現状では隣の地区の担当者が誰かもわかりませんし、毎年のように担当者が変わる教室もあると聞きます。

 新しい教室のため、全体の体制作りには時間がかかって然るべきなのかもしれませんが、こんなときこそ、教室で粛々とながらも着実に子どもたちをサポートし、学校運営上なくてはならないもの、というくらいの存在感を示したいと思ってもいます。


おわりに
 最後の項に「粛々と」という言葉を使いました。
 この3年間の歩みは、この一言に尽きるのかもしれません。

 出過ぎず気張らず弛むことなく、これからも教室を運営していきます。


 先日、KAZ先生とお茶をしながら話す機会をいただきました。
「特別支援教育に対する追い風が吹いている今こそ、よりよいLD教育の在り方を見つめ、我々が実践を積み重ねることが大切である」と熱く説かれるお言葉に、身が引き締まっています。

「オアシスからカタパルトへ」
これこそがみんなが求めている、LD通級への願いなのでしょうね。

長文へのお付き合いありがとうございました。

Posted at 07:17 | 教室運営 | この記事のURL
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LD通級3年の総括(3) [2009年04月20日(月) ]
3年間受け持たせていただいたLD.AD/HD等の通級指導教室。
これまでの取り組みを振り返りまとめてきました。

今回は3回目になります。
テーマは「よりよい連携 〜縦から横から〜」
とし、これまでに行ってきたお子さんを取り巻く連携について振り返ります。

一つ一つを丁寧に見ていくと、長文となってしまいそうなので、今回は連携してきたことを思い出しながら、簡単に書き出していきます。
個々については、必要な折にぼちぼちとご紹介していく予定です。

トピックとしては
@学校内の連携
A学校間の連携
B保護者との連携
C他機関との連携
に大きく分けてお話しします。

@学校内の連携
T在籍教室訪問 
 通級指導をしているお子さんの在籍教室だけではなく、担任から依頼があったり、保護者から相談を受けたりした教室に、観察に入っています。観察終了後は担任の先生と面談をとるようにさせていただいています。互いの考えを知り、すり合わせていくためにもとても大切な取り組みだと思っています。

U通常教室におけるソーシャルスキルトレーニング(SST) 
 通級でのSSTをより生かすためには、そのお子さんを取り巻く集団のソーシャルスキルが高い必要があります。そのお子さんの行動を個人の問題としてとらえるだけでなく、所属集団全体の豊かな風土を醸成したいと思い、通常学級におけるSSTをご紹介しています。
 校内研修で授業をしたり、プレゼンをして基本的な授業の流れをご紹介したりしてきました。
 依頼を受けて、教室に出向き、担任の先生とともTTで授業をさせていただくこともありました。

Vスクールカウンセラーとの連携
 これは昨年度はできませんでしたが・・・ SCの先生と情報を共有し、互いに役割を分けて関わるようにしてきました。
 SCによるカウンセリングと通級担当の教育相談によるコンサルテーションがぶれないように、また、互いが相反したり重複したりしないように心がけて進めました。
 現状としてはSCさんが数年で変わられたり、様々な経歴の方がSCになられる傾向があるため、継続的な運用をするには今後検討が必要だと感じています。
 ただ、子どもや保護者を混乱させないためには、我々担当者の協議は不可欠だとも認識しています。

A学校間の連携
 私が通級担任として受け持たせていただいているのは、在籍している本校と同町内のあと一つの学校です。2校という比較的こまめに連携がとりやすい環境で教室運営をさせていただいています。

Tエリア内小学校との連携
 コーディネーター間の連絡や通級時間割、学習内容のフィードバックは電子メールで行っています。
 また、年度初めに挨拶に出向き、全職員に向けて、通級教室に対するプレゼンをさせていただいています。
 教室訪問も本校と同じように行っています。
 できるだけ、両校で温度差が出ないように関わること、粘り強さが必要ではありますが常に心がけておきたいものです。

Uエリア内幼稚園保育園との連携
 職員研修に招いていただき、それぞれで特別支援教育に関してのお話をさせていただきました。また、幼稚園については校内研修のサポートをしています。
 町教委からの委嘱を受け、就学を控えたお子さんの観察をさせていただくこともありました。

Vエリア内中学校との連携
 町内には中学校が一つあり、町内のほぼすべてのお子さんが進学します。
 年度末に卒業児の引き継ぎのためにこれまで来校していましたが、昨年度からは新年度になって新たに一年担任になられた先生方に対しての引き継ぎもさせていただけるようになりました。
 今年度は校内研修にもお招きいただける予定です。

B保護者との連携
TPTA総会でお話
 本校とエリア内小学校のPTA総会で、20分ほど時間をいただき特別支援教育や通級指導教室に関するお話をさせていただいています。

Uお便りの発行
 通級教室便りを2ヶ月に1回を目標に発行し、町内全家庭に配布し、啓発を進めてきました。
 お便りには切り取って質問を私に返せるような単票をつけています。

V授業公開
 @ーUで述べたSSTの授業を保護者に公開したことがありました。単元4時間×3クラスの12時間を案内し、好きな時間に自由参観として行いました。
 のべ70名ほどがいらしていただき、ソーシャルスキルに関する意識が高まったように思います。

W教育相談
 保護者さんからの依頼や担任からの依頼を受け、常時相談を受けています。

X懇談会参加
 授業参観後の学級懇談や学年懇談に、依頼があれば参加し、当該年齢のお子さんが感じやすい困りやLD等の疑似体験を行っています。

C他機関との連携
T医療機関・福祉機関との連携
 子どもたちが通う小児科のドクターはじめ各療法士さんとはできるだけ連絡を取るようにしています。
 また、通院の際に授業の時間が融通が利くなら帯同をするように心がけています。投薬のあるお子さんについては、集団生活における適応状況を伝える必要を特に感じています。

Uオプトメトリストとの連携
 眼球運動および視知覚に困りがあると考えられるお子さんについては、ビジョントレーニングの専門家であるオプトメトリストに協力を受け取り組んでいます。
 現在、眼科医さんをまじえた3者でのよい連携システムを構築しようと話し合いをしているところです。

V教育委員会との連携
 就学前の児童についての観察依頼は教育委員会から入ってきます。観察の報告をしたり、委員会の情報をもとに医療機関や保護者と連絡をとったりすることがありました。
 通級教室への委員会の理解を求めるために、教室に委員会の皆さんを招き授業参観と通級の説明を行いました。

W放課後指導の皆さんとの連携
 子どもを取り巻く放課後指導者の皆さんとも必要に応じて話し合いをしています。教育支援計画の内容を元に、お子さんの特性や得意な学習のスタイルなどを交流しあいました。
 塾によっては、課題の精選や家庭学習の調節をしていただけました。


 長々と書き連ねてきましたが、現時点での連携についてまとめてみて感じたのは、連携先が増えれば増えるほど、焦点化が難しく全体像がぼやけてしまいそうだなあということです。
 必要な連携を見極め、より効率よくお子さんにあった支援を行うためのサポーターとして、いろんな連携先と繋がり合っていきたいなあとあらためて思いました。

 そのためにも教育支援計画をより有効に活用し、お子さんを取り巻く連携が卒業後も途切れないように、担当者が変わっても支援が揺らがないようにシステム作りをする必要を感じています。

 長文、おつきあいありがとうございました。

Posted at 02:41 | 教室運営 | この記事のURL
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