予定では、通級指導教室の時間割について、考えをまとめようと思っていましたが、春運動会である私の勤務校では、ただいま練習が真っ盛りです。
そこで、全体練習への参加支援などを通して感じたことや、実際に行ったことをまとめてみることにしました。
運動会は、儀式行事に負けず劣らず、主体的な参加が難しいお子さんがおられます。それぞれの状態に応じて、勤務校で支援していること、以前に行ったことをご紹介します。
@活動の見通しが持ちにくい
実感を持って聞いて下さる方が多いと思われますが、運動会の時期は時間割がよく変更になります。また、「出来映えがよいので練習を切り上げる」ということはあまりなく、子どもたちが頑張るほど「もっともっと」を要求されてしまいがちです。
自分はちゃんとしているのに、よく分からない論理で「もう一回」となってしまうその不条理。子どもたちはどう感じているのでしょうか。
○「見通しのある提示」「やりなおしは極力控える」
全体指導を行う体育主任の先生には、練習開始時や適宜に、練習の予定や休憩のタイミングを児童に伝えてもらうようにお願いしています。同じように「やりなおし」は可能な限り控えるということも要望をしています。
視覚的な提示が難しい運動場ですが、できる限りの言葉かけをして下さる体育主任に感謝することしきりです。
○「練習内容の個別配布」
運動はとっても大好き、リレーの選手でもある活動的なAさん。ですが、今日は朝から大声で泣いていました。
保護者さんと電話で連絡を取ると、以前から運動会や発表会など通常と異なる取り組みの際に不安定になることがあったとのこと。また、お出かけの際も、目的地や予定が変更となると、いらいらすることが見られたとのことでした。
この情報から、「見通しのない際に不安定となる」ことが予想されましたので、総練習を前に急いで準備したのが下のシートです。
他児は総練習を開始しようとしていたので、大急ぎで説明をし、「休憩」の位置の確認と、普段はポケットに直し、いつでも見て良いことを確認して送り出しました。
どの程度効くかなと思っていましたが、練習中、時折取り出して見てくれていました。
A刺激が多すぎる
運動場では、並んでいる目の前に色々なものが見えます。大好きなお母さんが見えたり、風にそよぐ木々が見えたり、ぴょんぴょんはずむ虫が見えたり、はたまた、足下の砂が「遊んで−」と声をかけたり(汗)
○「ミニ式次第で刺激減らし(結果として)」
Bさんは、去年、開閉会式の際に列から移動したり、しゃがんで砂山作りに没頭したりする姿がみられました。
式次第の視覚提示により見通しを持って参加してもらおうと考えたのが以下のミニ式次第です。
これを手に持ってから、彼は立って参加してくれるようになりました。
めくった左側に一行アドバイスを書いたこともよかったようです。
視線は手元にありますが、移動することもなく参加しています。と、いうか手元からほとんど視線を外しません。その状態を見ていると、もしかしてCさんは、「周囲からのあまりに多い視覚刺激に戸惑っていたのではないか」という思いになりました。
よく見ると校歌斉唱などでは口ずさんでくれたり、周囲と共に小さく礼をしたりしてくれていました。
B刺激が強すぎる
突如上がる歓声、太鼓、シグナルの「パン」という音、絶えず流れるBGM。聴覚的に過敏なお子さんには、運動会はあまりにハードですね。
○「ホイッスルでいいね」
Cさんはシグナルの音に強く反応し、叫んだり走り去ろうとしたりします。
担当の先生は、シグナルを実際に触らせたり、遠くで鳴らして慣れさせようとされたりと創意工夫をなさっていましたが、なかなか難しいようでした。
そこで、感覚の過敏さの説明を先生方にさせていただき、当日は運動会全体で、ホイッスルでの出発合図に変更してもらいました。
実際に終わってみて、来賓の一部から質問はあったものの、参加している子どもたちや我々職員、大多数の保護者に対して、「シグナルのならない運動会」はさして印象に残らないことが分かりました。
「運動会には○○」のような固定観念って、意外と弱いんだなあと実感してます。これはいろんな場面で考えていきたいですね。
今年度Cさんの担当になられた先生は、耳かけヘッドフォンでお気に入りの音楽を聴かせるという方法を考えられています。
結果がどうなるのかは、まだ分かりませんが、そのように工夫して下さる先生が出てこられたことが嬉しいですね。
C暑すぎる
春運動会の最大のデメリットは、練習すればするほど、本番が近づけば近づくほど、夏も近づき、気温が上がり、日差しが強くなることなのかもしれません(汗)
○「ぴっちりアンダーシャツでクールタッチ」
Dさんは、運動場で暑い暑いと苦しそうです。休み時間には水を頭からかぶったり、砂を体にまぶしたりと精一杯耐えていました。
なんとかならないかと考え、提案してみたのは「野球のアンダーシャツ」です。しかもピチッと体に密着するよくプロ選手なども着ている「あれ」を、着てもらいました。
適度な締め付け感と直射日光を遮ること、また、夏用の長袖は「クールタッチ」や「アイスタッチ」など各社「冷感仕様」となっているのも良かったようで、Dさんも気に入ってくれました。
保護者さんに連絡し、早速子ども用を購入してもらい当日も、その後も活用しておられたようです。
まとめにかえて
多くの学校では、運動会実施計画での「実施目的」第一項は、「平素の体育学習の発表の機会とする」とされているのではないでしょうか。
生活関連体力の向上が叫ばれ、平素の運動習慣の確立が社会的にも求められています。
それぞれのお子さんの特徴に配慮し、色々なスタイルで参加し、運動への好意を高めることのできるような運動会、またそこにつながる平素の体育学習が行われたらいいなあと、思っているところです。