LDやADHD,特別支援教育の話題を取り上げ,毎月5日に更新しています。ときどき私,カズ先生のエッセイや教育論なども載せています。

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プロフィール

上野 一彦

1943年生れ,東京都出身。東京大学大学院修了後,東京大学助手,東京学芸大学講師、助教授、1990年より教授、2009年退職。東京学芸大学名誉教授。現在、大学入試センター特任教授。早くからLD教育の必要性を主張。その支援教育を実践するとともに啓発活動を行い,1990年全国LD親の会,1992年日本LD学会設立に携わる。ITPA,WISC−V,LDI-R(LD判断のための調査票),PVT-Rなどの尺度開発。文部科学省「学習障害児の指導方法に関する調査研究」「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究」「特別支援教育の在り方に関する調査研究」の協力者会議委員,文科省初中局視学委員,東京都「心身障害教育改善検討委員会」委員長等を務める。1994年より日本LD学会会長、2009年同法人化に伴い一般社団法人日本LD学会理事長。一般財団法人特別支援教育士資格認定協会副理事長。財団法人日本英語検定協会理事等。
著書に「LDとADHD(講談社)」 「LDとディスレクシア(講談社)」「LD教授(パパ)の贈り物(講談社)」「LDを活かして生きよう(ぶどう社)」など多数。学校心理士,特別支援教育士SV,文部科学省小中局視学委員,東京都特別支援教育心理士等。

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LDを活かして生きよう [2009年10月05日(月) ]
10月10日から3日間、第18回LD学会が東京学芸大学で開催されます(大会会長:松村茂治先生)。今年の大会は私にとっても特別な大会です。
3月に東京学芸大学を退職し、その意味で外から楽しめる大会であること。
4月に学会が法人化し、その最初の大会であること。
理事長としての記念講演もありますが、11日、市川拓司さん・高山恵子さんとの鼎談(ある種の当事者トーク)があること。
そしてこの企画に合わせ、昨年11月市川さんに登場願った私との対談を軸にLDパパシリーズ、第2弾を発行することです。

「LDを活かして生きよう ―LD教授(パパ)のチャレンジ―」ぶどう社

エッセイ「LD教授(パパ)の贈り物」(2007、講談社)から、カズ先生のつたないモノカキ人生が始まったのですが、テーマはやはりLD、ADHDがらみ。最初のエッセイの帯には「自らのLD傾向を綴った自伝的応援本」とあります。
このエッセイで、私は私自身がLDであり、ADHDであることをカミングアウトしました。LDをわが国に紹介したカズ先生は、たしかにLDの専門家だが、そのカズ先生そのものがLDでありADHDでもあるというわけです。

さてその第2弾なのですが、タイトルの解題を「はしがき」から紹介しましょう。

 ひとを表現するとき「ユニーク」あるいは「個性的」というのはほめ言葉だろうか、それとも「変わり者」「わがまま」「自己チュウ」など、いささかマイナスの代替言葉なのだろうか。
 21世紀の到来と共に、わが国では特殊教育に替わる特別支援教育が全国的に展開されつつある。単なる看板の掛け替えではない。「障がい」という名の下に、特殊な教育を展開してきた時代から、子ども一人一人の困り感を大切に、それぞれの子どもが求める支援ニーズに敏感に応える教育の幕開けである。
 LDはたしかにどこかでバランスを欠いている。その意味で個性的な存在でもある。「LDは理解と支援が必要な個性」は私の長年のキャッチコピーだった。そして、LDが日常用語として社会的にも広く人々の間で認められつつある今、LDのある子どものニーズに気づき支援する教育は、まさに個性に応じた教育の原点でもある。
 弱点や欠点、短所をどのように克服し、支援するかは、支援教育の伝統的手法でもある。
一方、LDのあるさまざまな子どもたち、人々をみていると、彼らがLDという不利な面を抱えながらも彼ら流のやり方で学びとり、その力を見事に開花させたくましく生き抜いているケースもたくさんある。そうした強みや長所に思い切り光をあてて、育てる教育も個性を尊重する教育といえるのではないだろうか。
 このことを教えてくれたLDの青年たちを是非みなさんに紹介したいという強い気持が本書の背景にある。そして、本書の太い背骨は作家、市川拓司さんである。ふたりのそれぞれのエッセイが出会いのきっかけとなった。昨年、私は市川さんと対談するという機会に恵まれた。まさに幸運の出会いであった。これほど気さくで、これほどLD的で、これほど魅力的な人物と出会うとは。私はこのすばらしい対談を、市川さんの厚意で本書で再現させる事が出来た。 
 LDという言葉、概念も進化する。本書は、わたしにとっては「LD教授(パパ)シリーズ」第二弾的位置づけにある。そこでタイトルも表紙も中味もある冒険(チャレンジ)をさせていただいた。「LD」をそのまま使用すること、「障がい」で通すことである。出版社によっては、こうした冒険を商業的理由から嫌う。私はぶどう社の石毛さんと売れる本ではなく、伝える本を創りたいという妙な同士的関係にある。きっとふたりとも自分自身のなかに、どこか似たLD的特性を抱えているにちがいない。
 LDの子どもたちはきわめて個性的なのだが、「個性」も度を過ぎれば、いつの間にか仲間外れ、やっかいものあつかいされやすい。KY(空気読めない)といわれることもよくある。それだって好きでやってるわけじゃない。彼らだって必死に生きていこうとしているだけなのに。
 これまでたくさんのLDと出会ってきた。LDを仲立ちとしてたくさんのすばらしい人々と出会い、それらを通して、私自身がたくさんの生きがいをもらってきた。まさに、すべてがLDに始まり、すべてがLDに帰結していく。
 こうした経緯のなかで、誕生したこのLD教授(パパ)の本を、すべての個性的でありたい人々に「LDを活かして生きていこう」というメッセージと共に贈ります。
                                  LD教授(パパ) 上野一彦


*この本の印税の一部は LDの青年団体に寄付されます。
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