LDやADHD,特別支援教育の話題を取り上げ,毎月5日に更新しています。ときどき私,カズ先生のエッセイや教育論なども載せています。


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プロフィール

上野 一彦

1943年生れ,東京都出身。東京大学大学院修了後,東京大学助手,東京学芸大学講師、助教授、1990年より教授、2009年退職。東京学芸大学名誉教授。現在、大学入試センター特任教授。早くからLD教育の必要性を主張。その支援教育を実践するとともに啓発活動を行い,1990年全国LD親の会,1992年日本LD学会設立に携わる。ITPA,WISC−V,LDI-R(LD判断のための調査票),PVT-Rなどの尺度開発。文部科学省「学習障害児の指導方法に関する調査研究」「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究」「特別支援教育の在り方に関する調査研究」の協力者会議委員,文科省初中局視学委員,東京都「心身障害教育改善検討委員会」委員長等を務める。1994年より日本LD学会会長、2009年同法人化に伴い一般社団法人日本LD学会理事長。一般財団法人特別支援教育士資格認定協会副理事長。財団法人日本英語検定協会理事等。
著書に「LDとADHD(講談社)」 「LDとディスレクシア(講談社)」「LD教授(パパ)の贈り物(講談社)」「LDを活かして生きよう(ぶどう社)」など多数。学校心理士,特別支援教育士SV,文部科学省小中局視学委員,東京都特別支援教育心理士等。

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ニーズが先か、障碍種別が先か [2010年07月25日(日) ]
米国の大学進学に使用される検査SAT(Scholastic Assessment Test)やACT(American College Test)、英国の入学資格試験GCE(General Certificate of Education)等の実施においては、障害のある者が不利益を被らないよう合理的な調整を行うことが義務付けられており、各実施機関では、障害のある者に対し、様々な受験特別措置が講じられている。
これらの特別措置においては、選択可能な特別措置(時間延長や拡大用紙の使用など)があって、措置を求める合理的理由としてさまざまな障害の内容や程度が理由としてあげられる。従って、身体障害と同様にLDやADHDなどについても特別措置が認められている。  
本邦では、まず障害種別が先行し、その障害種別ごとに特別措置が存在しており、社会的に認知の遅れた発達障害などの特別措置は欧米に比較すると非常に遅れている。英国などのSEN(special educational needs)などにも象徴されるが、支援ニーズを先行させるか障害種別を先行させるかの施策における差はかなり大きいといえる。

*8月7日開催されますDO-IT Japan 2010一般公開シンポジウム(追記をご覧ください)では、私も話題提供いたします。
話題提供者4:上野一彦(大学入試センター/東京学芸大学)
「大学入試センター試験と『発達障害』特別措置」
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Posted at 03:46 | この記事のURL

「発達障害」学生はどれくらいいるのか [2010年07月15日(木) ]
「発達障害」学生はどれくらいいるのか (「大学と学生」6月号 論説より抜粋)

一口に障害学生といっても、わが国では伝統的に身体障害系(視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱など)への理解を中心にその受け入れが進んできた。高等教育における「発達障害」系の学生の受け入れについての認知度は極めて低い。
わが国では義務教育段階での「発達障害」のある児童生徒については、平成14年に実施された全国調査結果の6.3%というのが一つのガイドラインになっている(特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議、2003)。また平成18年度より、通常の学級に在籍したまま特別な支援を受ける「通級による指導」の対象としてLD、ADHDが初めて加えられた。文部科学省が毎年出している特別支援教育資料から、この「通級による指導」を受けている児童生徒数の推移をみると、元来その指導対象の主体であった言語障害をはじめ既存の他の障害生徒数はほとんど変化していないが、平成18年度以降、情緒障害から分離された自閉症とLD、ADHDを合わせた「発達障害」が、その後3年間で約2倍、1,4000人へと急増している。「通級による指導」の中での「発達障害」の構成比率は、LD 7%、ADHD7%、自閉症14%である。
また、文部科学省は平成17年度から特別支援教育体制推進事業の開始にあたり、小・中学校だけでなく高等学校へも拡大を図った。その結果、特別支援教育、なかでも「発達障害」に対する関心は高等学校段階から大学などの高等教育段階にも次第に広がりを見せている。これらの数値に示される動向が直ちに大学入試や高等教育全体へ影響するまでには時間がかかるだろうが、その波は間違いなく押し寄せてきている。
日本学生支援機構が毎年、全国の国公私立の大学、短期大学、高等専門学校に在籍している障害のある学生に関する詳細な実態調査を行っている(日本学生支援機構,2009)。平成20年度の報告結果によれば、調査した1,218校(大学757:短大397:高専64校、回収率100%)の全障害学生数は6,235人(大学5797:短大277:高専161人)で障害学生の在籍率は0.20%、(前年0.17%)であった。これら障害学生のうち、学校に支援申し出がありそれに対して何らかの支援を行っている者(支援障害学生)の支援率は55.2%である。
「発達障害」学生は、LD、ADHD、高機能自閉症及びアスペルガー症候群(以下ASD)等の医師の診断書のある者だけに限定されるが、その総数は299人(LD 31:ADHD 49:ASD 219人)障害学生全体の中での構成比率はわずか4.8%(前年3.3%)に過ぎない。なお、「発達障害」としての医師の診断書がないために障害学生数には含まれないが、「発達障害」があると推察されることから実際に教育上の配慮を行っている者は515人(LD 35:ADHD 115:ASD 365人)であり、診断書のある学生の約1.8倍いた。因みにそれらを合わせた「発達障害」学生の構成比率を算出してみると11.5%となる。

Posted at 11:57 | この記事のURL

「発達障害」学生と大学入試 [2010年07月05日(月) ]
いよいよ大学センター試験における「発達障害」のある志願者の入試特別措置を含む高校説明会が今週から全国で始まります。NHKのNEWSでも流れました。

「発達障害」学生と大学入試(「大学と学生」6月号論説より抜粋)

日本学生支援機構の21年度の報告書から、平成20年度入試(平成20年4月入学者)における「発達障害」学生について見てみよう。これら大学等で特別な措置を行った受験者数は1,958人、合格者は920人、入学者は688人であった。入学した「発達障害」学生はわずか11人(診断書あり 10:診断書なし・配慮あり 1人)であり、特別入試としては7人(AO入試 1:推薦入試6:障害者特別入試0人)、特別入試以外の入試4人である。このように「発達障害」学生は統計的に見ても極わずかであり、その存在はこれからの課題であることが如実に示される。
次に平成22年度大学入学者選抜大学入試センター試験ではどうであろうか。センター試験の全志願者数は553,368人、内、障害による受験特別措置を認められた者は1,288人で、その比率は0.23%である。この数値は先の障害学生在籍率0.2%と近似する。「平成22年度大学入学者選抜大学入試センター試験受験案内(別冊)」を見てもわかるように、現在、記載されている障害種別は、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱のみで、「発達障害」の規定はなく、特別な措置を求めるには「その他」で志願することになる。
事実、平成18年度〜22年度の受験特別措置申請者のなかにも、「その他」の障害として「発達障害」系の者が出てきており、昨年度から大学入試センターにおける特別措置委員会に「発達障害」に関する委員が初めて加えられた。また本年4月より大学入試センター内に新たにプロジェクト研究タイプの入試選抜研究機構が立ちあげられ、その中の障害者支援部門に発達障害グループが置かれるなど、やっと本格的な「発達障害」受け入れへの体制が始動したところである。
米国の大学進学に使用される検査(SAT・ACT)やイギリスの資格試験GCE)等の実施においては、障害のある者が不利益を被らないよう合理的な調整を行うことが義務付けられており、それら国の実施機関では、障害のある者に対しさまざまな受験特別措置が講じられてきている。
ただ、障害種別からみた実態状況にはわが国とは大きな隔たりがある。米国での大学受験における全障害者に対する特別措置は約2%、その8割がLDもしくはLD+ADHDだという報告がある。少なくとも義務教育段階での障害のある全生徒比率は約11%、LDはそのうちの6%弱、構成比率でいえば50%近くをLDが占めており、そうした背景のもとに大学進学がなされている。
一方英国では,1978年のウォーノック委員会報告を受けて「教育における特別なニーズ(Special Needs in Education)」という基本的な考え方をもとに「1981年教育法」が制定されている。この報告では,障害の分類を超えて具体的ニーズに応じた特別な教育措置を要する者はかなり多く,障害種別よりも特別な教育ニーズという捉え方をより重視する。その結果,学習困難(learning difficulties)という概念が使用され、5人に1人の割合で何らかの特別な教育措置を要する生徒がいると推定されている(山口・西永,2010)。
伝統的な読み障害(ディスレクシア)に対する理解は教育界全体にあり、職業準備教育や就労などでの配慮もしっかり定着している。また具体的な就労イメージの強い芸術・デザイン・技術系のコースでの「発達障害」系学生の比率はきわめて高い。このように欧米の障害学生全体の受け入れ状況と比較すると、障害学生全体としても大きな隔たりがあるが、なかでも「発達障害」系の学生については、わが国の対応の遅れは著しい。これらはまさに歴史的、文化的な差であり、わが国における今後の大きな課題であることは間違いない。


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Posted at 06:17 | この記事のURL

用語をめぐる問題 [2010年06月25日(金) ]
【続き】 「発達障害」学生と大学入試(「大学と学生」6月号論説より抜粋)
今回のタイトルは用語をめぐる問題
「発達障害」について
 「発達障害」学生という表記に違和感を覚える方は多いだろう。なぜ発達障害ではなく、「」付きの「発達障害」にしたのかという疑問である。実はこの感覚にこそ特別支援教育の大切な歴史と現実が刻み込まれている。まずは前提となる用語について明らかにすることから始めよう。
平成17年度から施行された「発達障害者支援法」では、身体障害や知的障害では規定されない、LDや注意欠陥多動性障害(以下ADHD)、自閉症等を、法制上「発達障害」と総称し定義した。文部科学省は、平成19年3月「特別支援教育の推進について(通知)」(19文科初第125号)のなかで、「知的な遅れのない発達障害」という、「通級による指導」の対象ニーズからの「発達障害」の限定した解釈をしている。しかし自閉症の扱いはむずかしい。自閉症は重度の知的障害を伴う者から知的な遅れを伴わない高機能自閉症やアスペルガー症候群までを含む、まさにスペクトラム障害だからである。
 知的障害や情緒障害とは別の視点から自閉症そのものの理解を求めるニーズと、これまで障害支援の範囲外にあったLDやADHDと同列に、自閉症のなかでも高機能自閉症やアスペルガー症候群など、「知的な遅れのない発達障害」としての自閉症への理解を求めるニーズとの併存が、この法律規定の理解を難しくしている。あえて「発達障害」とするのは、あくまでもわが国での法的規定上の用語であることを意識してのことである。
「発達障害」学生か、「発達障害」のある学生か、「発達障がい」のある学生か
また「発達障害」学生ではなく「発達障害」のある学生という表記をすべきという意見も強い。20年も前のことである。英語で論文を書くとき「障害者」を表記するときは「disabled person」ではなく「person with disability」とするのが法的規定で、そうしないと見識を疑われるというイロハを外国に住む友人から教えられた。
障害を頭から形容する表記は、障害の特異性を既定の事実として強く意識させるものであり、withで後から形容する場合は、たまたまそうした状態にあるという限定したニュアンスになる。この違いは当事者にとっても大きな感覚の差を生む。近年、マスコミ界では「障害者」でも「障害をもつ者」でもなく、「障害のある者」がほぼ定着したようである。
 表記におけるもう一つの課題は「障害」の2文字である。本来の漢字表記は「障碍」であったが、戦後、当用漢字(現、常用漢字)に「碍」の字がなく「害」を充てたと聞く。碍は「さまたげる」「さえぎる」の意だが、害は「さまたげる」の他に「そこなう、わざわい」を意味する「害虫」「公害」などがあり、マイナスのイメージが非常に強い。
 昨年12月、内閣府に「障がい者制度改革推進本部」がおかれ、さらにわが国の障害者制度の集中的な改革を行うための「障がい制度改革推進会議」が設置された。現在、「障害者自立支援法」に替わる新たな「障がい者総合福祉法」(仮称)の成り行きに注目が集まっているが、少なくともこれら一連の動きのなかで、「障がい」という名称が意識的に使われていることに一定の評価をしたいと思う。
 ただ、漢字2文字や四文字熟語を見慣れるものにとって、「障がい」はいかにもおさまりが悪い。漢字に誇りを持つ国民としては「障碍」でもよいが、「特殊教育」を「特別支援教育」とその理念とともに対応を大きく転換していったような、清新で的確な言葉を今こそ創設すべき時期なのかもしれない。
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Posted at 11:52 | この記事のURL

サムライ・ブルー [2010年06月15日(火) ]
昨夜はWカップ、カメルーン戦、久々のサムライJAPANの勝利、手に汗握る薄氷の勝利ではあったが。
かくいう私、50年前はサッカー少年でした。高校時代はクラマーや竹腰重丸の数少ない技術本を片手にただただグランドを走り回っていました。オリンピック銅メダルの釜本はみんなの神様。時代は移り、1993年春、米国での1年留学を終えて帰った私は、Jリーグ開幕のオーレ・オレ・オレ・オレの熱狂に今浦島の気分だったこと懐かしく思い出します。
その秋の一瞬にしてWカップが夢と消えたドーハの悲劇、グランドにうつ伏すラモスや三浦カズの姿にもう日本のサッカーは終わったと思ったものです。
その後、フラット・スリーのチーム戦術のトルシエJAPANはそれなりの新生JAPANでした。でもひいきの中村俊介をはずす非情さには選手ならずとも反発しましたね。個人技重視のジーコJAPAN、素人目にも遅れがちな選手交替に、TVから中田や宮本の戸惑いが伝わってきたものです。野球の長嶋ならずとも名選手、名監督ならずか。マラドーナやメッシのような体格を上回るスピードと技を日本人に求めても無理だったのか。その意味で走りきるオシムJAPANはいかにも献身さを美徳とする日本らしさで大いに期待しましたが、好事魔多し、跡を継ぐのは貧乏くじ。追いついたと思った韓国には引き離され、ほとんど解任寸前の岡田ジャパン。
それだけに昨夜の久々の勝利は一矢報いた感じ。熱しやすく冷めやすい自分に少々嫌気さしながらも、なんとか予選突破を夢見る勝手な私がそこにいました。

ところで鳩山・小澤辞任で奇跡のV回復によって、一気に選挙モード。実は特別支援教育や「発達障害」にとっても大切な局面を迎えているだけに、しっかり政局を見守りたいと思います。

一つお知らせ。この9月2日から、明治安田こころの健康財団の「精神保健夜間講座」で「ライフステージからみた最新の発達障害」が始まります。私は大学センター試験への「発達障害」特別措置の導入など最新の話題を。発達障害者支援法の立役者でもあり、ADHD学会の会長・JDDネットの新代表の市川宏伸先生は医療も含め、わが国の最新の動向について、就労関係の課題については梅永雄二先生が、実践的なSSTの活用について岡田智先生が、具体的な個別の指導計画の作り方については篁倫子先生が講義します。特別支援教育の最前線の情報をお届けします。ぜひ皆さんのご参加お待ちします。
(申込・問合せ先:03−3986−7021 明治安田こころの健康財団)


Posted at 05:19 | エッセイ | この記事のURL

「大学と学生」 6月号 論説より [2010年06月05日(土) ]
「大学と学生」(日本学生支援機構)6月号に論説を寄せる機会があった。私としては今の心境をかなり丁寧に述べたものなので、これからその一部を抜粋という形でご紹介することにします。今回は、その書き出し部分です。

四半世紀も前のことである。東京大学の教育学部で「学習障害の理解と対応」というタイトルの講義をもつ機会があった。当時、学習障害(以下LD)という言葉自体が新しい障害用語として社会に認められ始めた頃のことであり、その原語“learning disabilities”の略称LDを、今は懐かしい「レザーディスクではありません」と、笑いをとりながらの授業であった。新しい教育概念を教えることへの軽い興奮と、ともすれば概念も臨床例も学問的精緻さを欠きがちになるもどかしさの混ざった講義ではなかったろうか。
開始して間もなくの頃、他学部から聴講に来ていた一人の学生が私のところにやってきて言った。「僕は先生の話される内容がよく理解できません。講義内容の詳しい資料をいただけませんか。僕はこれまでも聴くよりも読んで理解しながらここまでやってきました」
学生の理解程度や反応具合によって右往左往する、シラバスなぞどこ吹く風の私の講義そのものが明快さを欠いていたせいかもしれないが、懲りない私は確信した。まさに彼こそ主題そのものである聴覚認知と視覚認知に大きなギャップをもった、今風に言うなら「発達障害」系の学生であろうと。他学部からの聴講というだけでもその動機に興味を感じつつ、次回のために準備した講義資料を渡し、その都度繰り返す彼との問答をどこか楽しみにする半年だった。これが、自ら「発達障害」を標榜する学生との最初の出会いであったのだが、その後、本人あるいは家族に何らかの「発達障害」があるという学生との邂逅が確実に増えていった
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Posted at 11:46 | この記事のURL

発達障害をめぐる大きな動き [2010年05月25日(火) ]
人生には good news と bad news は重なりやすいものですが、きょうはうれしい newsを2つお届けします。
ひとつは、大学のセンター試験で検討中だった「発達障害」の特別措置が正式に動き出しそうだということです。正式発表はまだですが、これでやっと欧米並みの理解推進になっていくことが期待されます。詳しくはまたお伝えします。これが実現しますと高等学校への影響、大学入学後の理解推進にも大きな影響が出るはずです。カズ先生としては,このnewsはわが国の特別支援教育にとってとてもbigなうれしいnewsだと思うわけです。
もうひとつは、平成17年に発達障害者支援法が施行されましたが、この法律は超党派の議員立法で出来ました。政権交代で一時、動きが止まっていた「発達障害を支援する議員連盟」が150人規模の大きな組織として、超党派で動き始めました(会長:渡部恒三)。政治家は批判されやすいものですが、こうした議員連盟を支えてきた方たちをみていると、本来の政治家のあるべき姿が見える気がします。
今、頑迷で子どもの本来の支援を忘れがちなフル・インクルージョン(私は人間として一緒に育ちながら、それぞれの子どもにとっての必要な支援を考えるしなやかなインクルージョンが大切だと思っています)、古くて狭い障害観からの「発達障害」批判もまだまだ根強くあります。視野の広さと人への深い理解がなければ、非常にエゴイスティックで、調和のないギスギスした社会にしか到達しません。障害を知る者は、誰よりも他を思いやる気持をそこから学ぶ者でもあるはずです。私はLDからそのことを学んできました。
まあ、あまり偉そうなことを言わずに、本当にこころから安らげる環境をみんなで創っていきたいですね。
Posted at 04:45 | この記事のURL

残された課題 外国籍の子ども [2010年05月15日(土) ]
「発達障害」相談をしていて、特に困難さを感じる課題として、@軽度の知的障がいを疑われる児童生徒の扱い、A知的発達的にはボーダー域で、いわゆる「発達障害」としての特徴をもたない「スローラーナー(学習遅進児)」、そして、B外国籍で、言語環境が十分整っていない学習困難児がたくさんいるということです。
こうした児童生徒は、LD,ADHD,高機能PDD(高機能自閉症・アスペルガー症候群)など、典型的な「発達障害」ではありませんが、その状態把握、具体的支援、進路など、併せて考えていくべき対象だと思います。
Bの場合、まずJSL(日本語を母国語としない)対象として、特別支援教育とは別枠で、コミュニケーションの支援が考えられていますが、ある程度会話が流暢になっても、言語環境の貧しさからの認知の発達や学習の困難さが出てきます。
こうした状態を明確にして、その手順をはっきりさせるのも校内委員会、専門家チーム(委員会)の役割だと思っています。
外国人労働者を抱える工場が集中している地域ではクラスの何割もが外国籍の子どもさんである場合もあります。両親のどちらかが日本である場合も多く、日本で生まれた子どもたちは日本の文化の中で日本人として育っていくわけです。
最近、学校の中で様々な問題を抱えている子どもたちがたくさんいることを痛感します。保護者と学校がスムーズな関係にないケースも増えています。ある意味で、子どもを取り巻く環境がどんどん変化しているのでしょうね。
この強い流れの中で、どのように子どもたちとともに生きていけばよいのか、途方にくれそうになります。明日を信じて一歩一歩行くよりほかありませんね。
今日はちょっと弱気ですが、「発達障害」のある生徒の大学入試の問題も大きな山にさしかかっています。小さな力でも信じていることを積み上げていくだけです。
 
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Posted at 05:46 | この記事のURL

アリスとADHD [2010年05月05日(水) ]
桜咲き何もせぬうち桜散る
GWはどのように過ごされましたか。
カズ先生は2日にSENSの講習会ありましたが、後は近所の庭園美術館、松岡美術館、秋、広尾に開設した山種美術館、松濤の戸栗美術館をエクササイズを兼ね、回りました。
それに「のだめカンタービレ」「シャーロック・ホームズ」「アリス・イン・ワンダーランド」と映画三昧をしました。
最後を飾ったアリスですが、有名なルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を下敷きに、13年後、美しく成人したアリスが婚約の席を逃げ出し、またまた不思議の国に迷い込むという、ティム・バートン監督とジョニー・ディップのコンビで創ったディズニー映画です。まさにイマジネーションあふれる世界観で描くファンタジー映画ですが、ストーリーの鍵を握る重要なキャラクターである、言葉遊びの好きな帽子屋を、ジョニー・デップが演じるせいか朝9時20分からの上映でしたが満席でした。
みんなと感性がちがうアリスが「私の頭は変なの?」と聞くと、理解のある亡き父親と帽子やは、「賢い人はみんなそうなんだよ」と答えます。
かねてより現実と非現実の世界を行き来する世界を描く作家に強い興味をもっており、ある種の発達障がい系(LD & ADHD)特有の個性の発露ではないかと思うことがよくあります。
こんな豊かな想像力、行動力を示すアリスの世界、これこそがADHDの素晴らしい世界なんじゃないかなと考えてしまうのです。
そういえば、今流行りの坂本竜馬、のだめちゃん、ホームズだってみんなギフテッドなADHD、まさに2E(二重の強い個性)ではないですか。おまけにウォルト・ディズニーだってそのひとりなんです。
そう考えるとこの素晴らしいADHDの世界にどっぷり浸りきった、GWでした。
Posted at 07:32 | LDと映画・文学 | この記事のURL

特別支援教育を継続するために [2010年04月25日(日) ]
昨日、JDDネットの会合がありました。話題は今後の特別支援教育がどのように継続・展開していくだろうか。不安定な政局のなかで政策の柱はどのように作られていくのだろうか。5時間にも及ぶ討議でした。
ひとつ、「手帳」問題は、厚労省が最初考えていた一本化は無理なようで、身体障害と精神障害(知的障害と発達障害)の2本立てかなといったご意見も拝聴しました。
障害種別を細かく出すのではなく、最後はそれぞれのニーズをいかに受け止めるかということだと思います。
本年もJDDネットとして予算要望書出しますが、私(日本LD学会)としては、以下のような項目大切かなと思っていますが、皆さんはどうお考えになりますか。

[文部科学省へ]
○就学前における「発達障害」のある児童の早期の気づきと対応に関する特別支援教育施策の充実
 ・園内(校内)委員会への専門家の派遣など、アドバイザリー制度の実施
 ・専門的な地域コーディネーターの配置
 ・特別支援教育支援員の配置
○義務教育段階における「発達障害」のある児童生徒の対応に関する特別支援教育体制施策の継続と充実
 ・通常の学級環境での「発達障害」のある児童生徒の効果的指導のための教員加配など専門的スタッフの充実
 ・「通級による指導」の対象となる児童生徒の増加に対応する効果的な専門教
員の配置
 ・特別支援教育支援員の確保と質の向上のための支援事業への援助
○高等学校段階における「発達障害」のある生徒に対する特別支援教育体制施策の充実
 ・「通級による指導」体制の導入、および専門教員の巡回相談・指導体制の実施、特別支援教育支援員の配置
 ・「発達障害」のあるギフテッド(全体もしくは部分的に非常に高い能力をもつ)生徒への理解推進と効果的な指導のための研究支援
○高等教育における特別支援教育の拡張施策の検討
 ・大学等における「発達障害」のある学生の実態調査と支援施策の検討
 ・高等教育における入試や授業における特別措置に関する研究支援
[厚生労働省へ]
○就学前における「発達障害」のある児童の早期の気づきと対応に関する特別支援教育
 (保育)施策の充実
○「発達障害」のある者の生涯相談センターとして、「発達障害者支援センター」の各地域での開設と充実したーサービスの展開のための支援
○就労、修学支援のための関係機関との連携のための事業検討
○「発達障害」のある者に必要な支援制度としての「手帳」等の全面的見直し検討
 (以上)

[おまけ] 先週たった一日だけあたかい春の日がありました。その日、高尾の森林公園に桜を見に行ってきました。吉野の桜もこんなのかなー
Posted at 08:50 | この記事のURL

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カズ先生のスケジュール(7月8月) 火or水、木曜日は大学入試センターに特任教授として出勤 7月30日-8月1日天文台 8月2日TBS見学 8月3日WISC-W打ち合わせ/渋谷区管理職研修 8月4日モンテッソリー協会講演 8月5日千葉県子どもと親のサポートセンター講演 8月6日LD学会記念フォーラム(長久手)講演 8月7日DO-IT Japan(東大先端研) 8月8日JDDネット正副代表者会議 8月10日-17日海外(スペイン) 8月19日ITPA研修 8月20、21日LD親の会シンポ(札幌) 8月22、23日sens養成講座(大阪) 8月26日市川市妙典中学研修会 8月28日第2回日本語能力試験専門委員会 8月31日世田谷区小学校校内研修会
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