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個々のニーズと信義を重んじた特別支援学校の授業 [2010年07月09日(金) ]
 私が住んでいる沖縄の自治会の昨年の「お祭り」は、ペーパーの計画書にないことがたくさん出てきて、お祭りが次第に盛りあがっていきました。その背景には、間違いなく自治会の人たちの堅いつながり・信頼関係がありました。
 同様に、沖縄の特別支援学校や特別支援学級の授業を2年間ほど参観して驚いたのは、頭で計画した書き物(学習指導案)よりも、実際の授業の方がそれを上回り、生き活きとした授業が圧倒的に多いという事実でした。
 昨日の沖縄県立K特別支援学校の授業は、学習指導案がしっかりしていただけではなく実際の授業も素晴らしいものでした。薬のせいで眠そうな子どももいましたが、多くの子どもたちは楽しくのびのびと授業に参加していました。
 午前中に四つの研究授業を参観させていただきましたが、一体なぜ子どもたちが楽しくはつらつと授業に集中していたのか。要因を三つの観点から分析すると次のようなことが言えるのではないかと思いました。
 @ひとつは、題材設定の理由に先生方の教育観、学習観、教材観、児童観が明確に示されていたということです。したがって、児童生徒の的確な実態把握がなされ、指導内容の選択も指導目標も明確なものとなっていたのではないか。このように、先生方の教育哲学、問題意識の明確さが光りました。
 A次に、指導方法に関するものですが、一人ひとりの先生方の教育的支援の背景には児童一人ひとりのニーズを大切にするという発想が看取でき、四つの研究授業には常に児童生徒の側に重心を置いたかかわりが展開されていました。そうした姿勢が、児童生徒の自発性を促していったものと推測されます。
 そして、先生方がおそらく意図的・計画的に明るく振舞い、楽しい雰囲気を醸成しようと努力し、具体的に子どもたちを褒め、励ますよう努力をしていたことが、素晴らしい授業の要因としてあげることができます。
 Bもうひとつは、教員同士の連携・支援体制です。サッカーで11人の選手が決して無駄な空間を開けないようにプレーするのと同様、教員同士のポジョンとお互いの距離のとり方に意図的な配慮が見られました。

 その他に気づいた点をあげると、「日常生活」という難しい分野への挑戦、スイッチや三角マットを活用したアイデアのある授業等々、四つの授業は「児童生徒を何とか善くしたい」という先生方の熱意・愛情が満ち溢れていました。
また、児童生徒も教員同志も、苗字ではなく「名前で呼び合う」習慣、「何々しましょうね」(相手に対する思いやりから発する言い方?)という独特の語りかけ、児童生徒や保護者のニーズに重心をおいた時間割の克服(うちなータイム?)等、授業を盛り上げる沖縄独自の世界も子どもをイキイキさせる要因ではないかと推測されます。「ワシミルク」の意味も初めて確認でき嬉しく思いました。
 いずれにしても、「教師は授業で勝負する」ことの大切さを改めて教えられました。「今を大切に生きる」という教育の本質(現在・幸福・過程)を印象づける示唆に富んだ研究授業でした。
 沖縄の特別支援学校の教育現場を参観するたびに、沖縄の児童生徒は幸せだなと痛感します。それは、K特別支援学校の先生方だけではなく、沖縄の特別支援学校に勤務する先生方の子どもに向かう熱意の賜物ではないかと思います。

 夕方からは、有志の先生方、校長先生、お二人の教頭先生、三人の講師の先生を交え、学校のすぐ近くのいきつけの居酒屋さんで乾杯。教育談義に花を咲かせました。私はこの「ノミ二ケーション」の雰囲気がとても好きです。
 校長先生の「子どもを大切にした教育」が多くの教員に反映されているような気がしました。そして、「信義」を重んじた沖縄独特の信頼関係(ゆいまーる精神)が、組織エゴ、イデオロギーを超え、さらには学習指導案を超え、子ども中心の授業を展開する原動力になっていると確信しました。
 四つの授業を通して、当たり前のことかもしれませんが、沖縄独自の「信義」を重視した人間同士の「つながり」「信頼関係」の大切さを、しみじみ感じた一日でした。
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