県立の児童自立支援施設に転勤することになった。初めて見聞する経験も多く、戸惑いが多い。

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「村を捨ててしまう学力」が正常であるはずがない [2010年02月19日(金) ]
 『教室ツーウェイ』(明治図書)3月号の巻頭は、向山洋一先生の「子ども達と「生きがいのある」社会を創造していくために」だ。詳しくは本誌をお読みください。
(1)
 「まちづくり」には、強烈な原体験がある。今から20年くらい昔、私は秋田県の市、町、村長、30名くらいの方に招かれ、講演に出かけたことがある。
 幹事役は、秋田県のへき地、蜂浜村の村長さんだった。やる気とアイデアに満ちた方で、村の活性化のために「たぬき村の村おこし」を考え、国から予算をいただいたという。その中に「たぬきの童話」コンクールがあり、全国から二千作もの応募があった。
「向山先生。うちの村から二人も応募していたのです。こんな奥深い村にも、童話を書く人がいたんです」蜂浜村の村長さんは感動していた。そして、大切な話を切り出した。
「向山先生は、小学校の先生でしょう。うちの村にも、小学校、中学校があります。いい子たちです。大切に育てています」
「高校になると、隣の大きな町に行きます。でも、毎日、家に帰ってきます。高校を卒業して、進学したり、就職したりして、遠くの大都会に出ていきます」
 そして、村長は私を見つめて言った。
「村を出て行った青年は、再び村に帰ってきません。後には、子どもを育てた両親が残されます。やがて年をとって、ジジ、ババになっていきます。このジジ、ババを誰がめんどうを見るのですか。成績が良かった子ほど、戻っては来ないのです」
 私には、全くなかった視点だ。教師が、子どもを立派に育てれば、育てるほど、村を離れ、村には戻らない。そんなことがあっていいはずがない。
「村を捨ててしまう学力」が正常であるはずがない。
 村のことをよく理解する教育。村のことを、誇りをもって他人に語れる教育。村の伝統や文化を身につけさせる教育。村や家族や友人をいつまでも大切にする教育。時々は、村に帰れるようなしくみ。いつまでもいつまでもふるさとを大切にする教育。そのような「まちづくり学習」を、私はしていこうと心に決めたのである。
(2)
 村のことを理解し、誇りを持てるようになり、他の人にも語れるような教育として「観光立国教育」を開始した。
(中略)
 世の中の動き方は「平和の時代」と「戦争の時代」では異なる。戦争の時代は、物資が激しく消耗され、もの不足となり、物価は上がり、賃金もあがる。インフレの時代となる。平和の時代は、ものがあまり、物価は下がり、賃金も下がる。粗く言えば、そういう流れになる。
 戦争の時代は「豊かさ」を求めるが、平和の時代は「生きがい」を求めるようになる。
 「大戦」「冷戦」という「戦争の時代」から、「社会主義陣営の崩壊」を経て「平和の時代」に突入した。残る戦争は「テロとの戦い」といく部分的なものである。
 日本は「物価が下がる」が「賃金も下がる」という苦悩をかかえている。こうした社会で「生きがい」のある社会をどう創っていくのか、それは教師の大切な仕事である。
(3)
 子ども達が、自分の育った地域を「好きになる」教育が必要だ。
 第1には「すべての子どもの基礎学力を保障する」ことだ。
 第2には、「発達障害の子、境界知能子」(子どものおよそ四分の一)の子を自立できるように育てることだ。その基本は、「教えて、教えて、ほめる」ことである。どなる教育、教えないで考えさせる教育などは最悪だ。多くの子どもと家庭を不幸のどん底におとしいれてしまう。
 第3に、自分の住んでいる地域を理解して、誇りを持てるような学習をすることが大切だ。
 第4に、地域の良さをアピールしていく「発進能力」「ネットワーク作成能力」を育てることが大切だ。
 しかし、まだ不足だ。福留先生達が20年間推進してきた「子ほめ条例」を広げていくことも必要だ。入学してから卒業までに、一人残らず全員に「賞状を出す」という条例だ。
 更に、小学校4年の「二分の一成人式」、中学2年の「立志の式」なども広げたい。教師だけができる活動だ。以下、長崎県の若い教師の報告である。
 教職に就き、6年目。初めて4年生担任になった。「盛大な2分の1成人式をしよう」と決意した。以前から、やってみたかった実践である。実践した結果は、これまで経験したことのないものとなった。
 2分の1成人式の中で最も感動を呼んだのは、学級でもやんちゃなS君の決意表明の時である。自分の生きてきた10年間を振り返り、親への感謝の言葉を述べているときである。言葉がつまり始めた。目には大粒の涙が溢れていた。涙で言葉が出ない。参観していた多くの保護者も涙。教室はシーンと静まりかえり、ただS君の嗚咽と保護者や子どもたちのすすり泣きの声だけが響いていた。S君は教室の中でもかなりのやんちゃ者。1,2年生の頃は周りの子への乱暴や絶えないケンカでよく問題になっていた子である。保護者たちはそのことをよく知っていた。そんなS君が目の前で泣きながら母親への感謝の言葉を述べているのである。
 式が終わった次の日。S君は私にこう言った。「どうしてなのかわからないけど、ないてしまいました」たくさんの保護者に囲まれた中での厳かな雰囲気。初めて迎える人生の節目。決意表明の原稿を作成する過程で湧き上がった親への感情。それら全ての結果が彼の心を強く揺さぶった。
 その後のS君は明らかに変わった。友達とのトラブルが激減した。悪いことをしても素直に反省の言葉が出せるようになった。落し物を拾って、持ち主に届けるようになった。数え上げればきりがない。
 2分の1成人式での体験が彼を変えた。
Posted at 19:28 | まちづくり・観光立国教育 | この記事のURL
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コメント
 コメントありがとうございます。
 盛大な2分の1成人式ができるといいですね。
 感動できる式になるかどうかは、教師の腕次第たと思います。
Posted by:ぼくらの研修日記  at 2010年02月25日(木) 19:08

うちの息子も2分の1成人式を迎えます。
S君のような人生を変えるきっかけになればとてもうれしいです。
Posted by:今年は野武士  at 2010年02月24日(水) 00:41


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